TFOODS.COM 材料にこだわる人とプロの為の洋菓子材料通販サイト

ピュラトスジャパン主催 マレーン・クゥーフジェンス(Marijn Coertjens)氏による特別来日講習会
2017年9月27日、製菓・製パンのプロフェッショナルに向けて様々な原材料やサービスを提供するピュラトスジャパン株式会社が主催する、マレーン・クゥーフジェンス(Marijn Coertjens)氏による特別来日講習会が行われました。

マレーン氏は、ベルギー出身のパティシエ・ショコラティエで、ベルギーの有名店で修業を重ねた後、香港の最高級ホテル「ザ・ペニンシュラ香港」のチョコレート部門のシェフに就任。2017年2月にはベルギーのゲントで自身のチョコレート・ペストリーショップをオープンし、オーナーシェフを務めています。製菓コンクールでも数々の実績があり、2011年クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーと2015年ワールド・チョコレート・マスターズでは、ベルギー代表として共に銅賞(3位)を受賞しています。

そんなベルギーの若き実力者パティシエとして注目を集めるマレーン氏は、日本のパティスリーでインターンシップを行った経験がある為、何度か来日した経験はありますが、日本で講習会を行うのは今回が初めて。自身のショップでベルコラーデ製品を使用している事から講習会の実現に至りました。

デモンストレーションされた作品は、アントルメ、ボンボンショコラ、チョコレートスナック、プチガトー、焼き菓子の全5品。どの作品も装飾や色使いに特徴があり、マレーン氏の美的感覚や世界観が感じられる講習会となりました。

開 催 日 2017年9月27日(水)
講 師 マレーン・クゥーフジェンス(Marijn Coertjens)氏
主 催 ピュラトスジャパン株式会社
ENTREMETS CHRISTA(アントルメ≪クリスタ≫)
講習会のオープニングを飾る1作品目は、「ENTREMETS CHRISTA(アントルメ≪クリスタ≫)」。このアントルメ≪クリスタ≫は、マレーン氏の奥様である「クリスタさん」の名前を作品名に起用したアントルメで、彼女のイメージカラーであり、マレーン氏のショップのイメージカラーでもある「紫」を配色に取り入れています。

作品構成は、パータ・ボンブベースで仕込んだノワール・コレクシオン・ペルー(ベルコラーデ)のムースをメインにして、センターにはムース・エストラゴン、ビスキュイ・ジョコンド、ラズベリー・コンポート、アーモンド・ヘーゼルナッツ・ダックワーズ、底生地には柚子風味のクランブルをそれぞれ配置しています。

本作品の中でも特徴的なパーツとなるのがムース・エストラゴン。エストラゴンは、フランス料理に良く使用されるハーブで、甘みのある高貴な香りが特徴。日本のパティスリーではあまり見かけませんが、製菓とも相性の良いハーブであり、こちらのムースでは生クリームに香りをアンフュゼしてから、ブラン・セレクシオン(ベルコラーデ)と乳化させて、モンテした生クリームと混ぜ合わせています。

作品の仕上げには、色素を組み合わせて深みのある紫色に調整したグラッサージュでコーティングを行い、最後に大きな蝶のデコール・ショコラを飾り付けています。この蝶のデコール・ショコラは、2015年のワールド・チョコレート・マスターズで披露したもので、複数の型を組み合わせながら着色することでリアルな羽根模様を描いています。
ムース・エストラゴンを仕込む様子。生クリームにエストラゴンの香りをアンフュゼ。
ムース・エストラゴンやビスキュイ・ジョコンドなどを重ねてセンターを仕込みます。
底生地となる柚子風味のクランブル。焼成後に柚子のゼストを振りかけています。
全てのパーツが準備できた所でモンタージュ。メインはノワール・コレクシオン・ペルーのムース。
色素を組み合わせて深みのある紫色に調整したグラッサージュでコーティング。独特な色使い。
2015年のワールド・チョコレート・マスターズでも披露した蝶のデコール・ショコラ。
紫の色合いが特徴的な仕上がり。マレーン氏の世界観が感じられるアントルメです。
アントルメ・クリスタの断面。エストラゴンの香りとムース・ショコラの味わいがマッチしています。
CITRUS BUTTERFLY(シトラス・バタフライ)
2作品目は、「CITRUS BUTTERFLY(シトラス・バタフライ)」。センターにシトラス・ジャムとシトラス・ガナッシュを2層重ねたレモン風味のボンボンショコラです。

通常のボンボンショコラではモールディングの型部分と底部分に同じチョコレートを使用するのが一般的ですが、このシトラス・バタフライでは、型部分にホワイトチョコレートを、底部分にダークチョコレートをそれぞれ使用しています。これは口の中に入れた際に異なるチョコレートによる溶ける温度の違いを楽しませる目的があり、マレーン氏は他のボンボンショコラでもこのスタイルを取り入れています。

ボンボンショコラの表面には、3色のピストレを重ねて「バタフライ」というネーミングを連想させる蝶の羽根模様を描いています。予め配色に合わせてピストレ用の型を準備することで、手軽にオリジナリティのあるデザインに仕上げる事を実現しています。
マーブル台を利用したテンパリング。温度計は基本的に使用せず、感覚を頼りに作業を行います。
ホワイトチョコレートでボンボンショコラのシェル作り。チョコレートの扱いはお手の物。
ボンボンショコラのセンターはシトラス・ジャムとシトラス・ガナッシュの2層構成。
モールディングの底部分はダークチョコレート。型部分と底部分で異なるチョコレートを使用。
仕上げのデコレーションとして3色のピストレを重ねて蝶の羽根模様を描きます。
完成したシトラス・バタフライ。レモンの爽やかな味わいと蝶の羽根模様が特徴的。
TABLET JEANS(タブレット≪ジーンズ≫)
3作品目は、「TABLET JEANS(タブレット≪ジーンズ≫)」。タブレット≪ジーンズ≫は、マレーン氏がザ・ペニンシュラ香港で働いていた時に、ジーンズメーカーからの依頼により考案した作品で、「ジーンズ」をデザインに取り入れたチョコレートスナックです。

タブレット・ジーンズの構成は、レ・キャラメル(ベルコラーデ)のモールディングの中に、キャラメル・ムーとコーンスナックを詰めています。分かりやすく例えるなら、「スニッカーズ」をマレーン氏風にアレンジした作品で、マレーン氏自身もスニッカーズを好んでいることから、このスタイルに仕上げています。

デコレーションとして飾り付けているデニム模様のチョコレートプレートには、リベットやステッチを付けて本物のジーンズを再現。細かな部分まで丁寧に表現するマレーン氏の職人としてのこだわりが感じられる作品です。
まずはデコレーション用のチョコレートプレート作り。複数色のカカオバターを刷毛で塗り重ねます。
完成したチョコレートプレート。プラスチックシートから外すと見事なデニム模様に。
レ・キャラメルのモールディングの中にキャラメル・ムーとコーンスナックを詰めて組み立て。
デコレーションとして先ほど準備したデニム模様のチョコレートプレートを飾り付け。
リベットやステッチも付けて本物のジーンズを再現。ジーンズの細かな部分まで丁寧に表現。
中に詰めたコーンスナック。揚げたコーンに塩味を付けたもの。スペインなどで売られています。
※タブレット≪ジーンズ≫のレシピは、ベルコラーデ公式ウェブサイトで公開されています。
(レシピ閲覧にはベルコラーデクラブウェブ会員登録を行う必要があります)
http://belcolade.jp/recipe/index.html
LEMON TART(レモン・タルト)
4作品目は、「LEMON TART(レモン・タルト)」。そのネーミングの通り、タルト・シトロンをマレーン氏風にアレンジした作品です。

作品の下半分は、カップ状に乾燥焼きしたメレンゲの中に、マダガスカル産バニラの香りを効かせたマスカルポーネクリームと、レモンのジュレが入っています。カップのすり切りまで絞り入れます。

作品の上半分は、円盤状に焼成したサブレ生地の上に、ドーム状に冷やし固めたクレーム・シトロンを重ねたもの。クレーム・シトロンのレシピにはブラン・アンターンス(ベルコラーデ)とマスカルポーネが配合されており、一般的なクレーム・シトロンに比べて、滑らかな口溶けとマイルドな酸味に仕上げています。

全てのパーツをモンタージュした後は、デコール・ショコラで「ソレイユ(太陽)」をイメージしたデコレーションを行い、レモン・タルトの完成。サングラス姿でにっこり微笑む表情が大変ユニークなプチガトーとなりました。
下半分のメレンゲのカップはシリコン製のドーム型の裏面を利用して乾燥焼き。
焼成後のメレンゲ。きれいなカップ状に焼き上がりました。
メレンゲのくぼみの中にマスカルポーネクリームとレモンのジュレ絞り入れます。
ドーム状に冷やし固めたクレーム・シトロンは黄色に着色したグラッサージュでコーティング。
円盤状に焼成したサブレ生地とクレーム・シトロンを重ねてメレンゲカップの上に配置。
「ソレイユ(太陽)」をイメージしたデコール・ショコラを飾り付けてレモン・タルトの完成。
50SHADES OF PINK(50シェード・オブ・ピンク)
講習会の最後となる5作品目は「50SHADES OF PINK(50シェード・オブ・ピンク)」。この50シェード・オブ・ピンクは、近年話題の「レッドベルベットケーキ」をアレンジした作品で、鮮やかな赤色に焼き上げた生地を3色のピンクのチョコレートでコーティングした焼き菓子です。

ケイク生地は、全卵とグラニュー糖をしっかり泡立てたものをベースにして、粉類、ココアパウダー、溶かしバター、赤色の色粉などの材料を順に混ぜ合わせてから焼成しています。焼成後は生地を冷ましてから、アーモンドダイスを混ぜ込んだ濃淡の異なる3色のピンクのチョコレートでコーティング。それぞれの色が生地の1/3ずつになるように順にコーティングを重ねていきます。

仕上げには、本物のレース生地を使用して模様を付けたデコール・ショコラを飾り完成。3色のピンクのグラデーションと鮮やかな赤色の生地が奇抜な印象を与えますが、味わいは正統派のココアケーキ。しっとり柔らかな食感と程良いココア風味が楽しめます。
ケイク生地は卓上ミキサーを使用して各材料を順に混ぜ合わせてから焼成。
焼成後のケイク生地。ココアパウダーと赤色の色粉が配合されているので鮮やかなダークレッド。
焼成後は生地を冷ましてからアーモンドダイスを混ぜ込んだ3色のピンクのチョコレートでコーティング。
飾り用のデコール・ショコラ。本物のレース生地を使用して模様を付けています。
試食用の50シェード・オブ・ピンク。見た目は奇抜ですが味わいは正統派のココアケーキ。
マレーン・クゥーフジェンス(Marijn Coertjens)氏
マレーン・クゥーフジェンス(Marijn Coertjens)氏
ベルギー出身。ザ・ペニンシュラ香港でチョコレート・シェフを5年務める。ベルギーと日本で数々の有名シェフと働いた経験を持ち、中でも日本でのインターンシップの経験が洋菓子における視野を広げ、現在の基盤となる。キャリアを通じ、数々の国際コンクールにも出場。ワールド・チョコレート・マスターズで2度ベルギー代表に選出され、2015年は銅賞を受賞。2011年のクープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーでも銅賞を受賞。2017年2月にベルギー・ゲントにチョコレート・ペストリーショップをオープンし、オーナーシェフを務める。
ピュラトスについて
ピュラトスについて
世界100カ国以上の製菓・製パンのプロフェッショナルに向けて、様々な原材料やサービスを提供する国際的企業。開発から製造まで自社で行う。ベーカリー・パティスリー製品や、ベルギーチョコレートのブランド、ベルコラーデなどを取り扱う。ベルギーの首都ブリュッセル近郊のグルート・ビジガーデンに本社を構える。
 
過去に開催された、講習会や教室の一覧ページ