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ミッシェルクルイゼル勉強会2013
照りつけるような日差しが本格的な夏の訪れを感じさせる7月下旬、南青山にあるサンエイト貿易のテストキッチン「サンエイトプリュス」にて、アシェットデセールのデモンストレーションを交えたミッシェルクルイゼルチョコレート勉強会が行われました。
講師はミッシェルクルイゼル社のアジア地区担当デモンストレーターであり、株式会社スイーツシークレッツのエグゼクティブシェフでもある、TFOODSではお馴染みのステファン・ヴュー氏。
今回はアシェットデセールという事なので、参加している受講者はレストランやカフェ関係の方が多くみられました。そんな中、デモンストレーションして頂いたのはアシェットデセール3品とプチフール盛り合わせ1品の合計4品。前半の2皿を仕上げた後には、チョコレートの基礎理論からレシピ作りまでからめた勉強会も行われました。
開催日 2013年7月22日(月)、23日(火)
講 師 ステファン・ヴュー氏
(ミッシェルクルイゼルアジア地区担当デモンストレーター、スイーツシークレッツエグゼクティブシェフ)
主 催 サンエイト貿易
会 場 サンエイトプリュス
Subtil caramel sale(シュプティルキャラメルサレ)
Subtil caramel sale(シュプティルキャラメルサレ)
まず最初にデモンストレーションされたのが「Subtil caramel sale(シュプティルキャラメルサレ)」。
こちらのデセールは、MCロスアンコネス67%を使用したエスプーマをベースに、トンカ豆の香りをアンフュゼしたミルクチョコレートクリーム、キャラメリゼしたピーナッツ、ローストしたポワール、塩キャラメルのグラスを組み合わせた一皿です。味の構成としては、ダークチョコレートとミルクチョコレートの濃厚な風味を、ポワールと塩キャラメルの爽やかな味わいが引き締めるといったイメージ。ふんわりとしたエスプーマ、なめらかなクリーム、ひんやり冷たいグラスという3種類の食感が一皿で楽しめます。アクセントとして添えられているキャラメリゼしたピーナッツとMCグリュエティーヌで作ったチュイルの存在も欠かせません。
エスプーマにはSOSAプロエスプーマCOLDが添加されており、使用する事で泡持ちが良くなるとステファン氏。多くの受講者がエスプーマ作りに強い興味を示しており、エスプーマ作りに関する質問がステファン氏に集中していました。
このアシェットデセールでは、デモンストレーションの際に2パターンの仕上げ方を披露。1つ目の仕上げは、球状のガラス容器の中にパーツを層状に重ねていくというもの。そして、2つ目の仕上げ方法は、洋梨の形に型取りをしたホワイトチョコレートの中にパーツを流していくというもの。このデセールが料理の最後に登場したら、いったいどんな表情をするだろうと余計な想像してしまいたくなるようなユニークな仕上がりに、ステファン氏の想像力の豊かさを感じさせられる一皿となりました。
チョコレート生菓子の仕込みにはハンドブレンダーが有効。ムラなく滑らかに混ざり、作業性に優れます。
MCグリュエティーヌで作ったチュイル。作り方は簡単ですが自由な形に仕上げられ実用的。
エスプーマの盛り付け。SOSAプロエスプーマを添加することで泡の品質向上が期待できます。
細かな飾り付けですがスピーディに仕上げていくステファン氏。受講者も集中して見守ります。
このポワールの中にデセールが仕込まれているとは。想像力を掻き立てるユニークな一皿。
こちらは試食用。濃厚な味わいとさまざまな食感・口当たりが楽しめます。
Pave feuillete chocolat(パヴェフィユテショコラ)
Pave feuillete chocolat(パヴェフィユテショコラ)
2番目にデモンストレーションされたのが「Pave feuillete chocolat(パヴェフィユテショコラ)」。
このデセールは、プラリネとチョコレートを混ぜ合わせたMCスフレティーヌ(ライスパフ)の上に、MCマンガロノワール65%を使用したガナッシュを重ねた2層のガトーをメインパーツとして構成。2層のガトーはプラリネとミルクチョコを合わせたグラッサージュでコーティングされています。そしてこのガトーを中心にして、爽やかな酸味のアプリコットソース、MCマンガロノワール65%とBABBIピスタチオペーストを使用したマーブル状アイスクリーム、キャラメリゼしたヘーゼルナッツ、デコレーション用のチュイールをそれぞれ配置して完成。
2層のガトーをグラッサージュでコーティングする際にはドライヤーが登場。ドライヤーの熱を利用する事で薄く美しい上掛けが出来るそうなので、ご興味ある方は一度試してみてはいかがでしょうか。
組み立ての際、アプリコットソースはスポイトの中に。最近では、ソースや洋酒入りのスポイトが刺さった洋菓子を目にする機会も多くなりましたが、アシェットデセールにも効果的。前菜などに使用しても良いですね。
ステファン氏のレクチャー風景。大きな身振り手振りを交えて受講者にわかりやすく説明していきます。
ドライヤーで熱を加えながらのコーティング。上掛けは薄い仕上がりを目指します。
キャラメルにチョコレートを加えたチュイール。冷やし固めたものを一度粉砕してからオーブンで焼成。
飾り用チョコレートを円形にくり抜き、アプリコットソースの入ったスポイトを配置。
美しい色合いのMCマンガロノワール65%とピスタチオペーストを使用したマーブルアイス。味の相性も抜群。
試食用のパヴェフィユテショコラ。約10cm角程度の皿の上に見事に盛り付けられています。
チョコレート勉強会
チョコレート勉強会
ここで3品目のデモンストレーション前にチョコレートに関する勉強会が行われました。
オープニング時に配られたチョコレートの基礎理論とベーシックレシピを元に、ステファン氏の講義が始まります。ステファン氏は2001年の来日以来、日本で多数の仕事をこなしているので日本語はお手の物。軽快な話術と共に論理的なチョコレートの勉強会が進められていきます。中でもステファン氏が力を入れて講義していたのが、ガナッシュの作り方。ガナッシュをバランス良く調和させる為に、自分なりの公式を用いてレシピを導き出しているという事で、今回はその計算方法を受講者に伝授して頂きました。
ステファン氏の技術を支えているのは、この揺るぎ無い理論と知識なのだと実感する事の出来る素晴らしい勉強会となりました。
Fondant chocolat(フォンダンショコラ)
Fondant chocolat(フォンダンショコラ)
さて、充実の勉強会も終わり、次は3品目のデモンストレーション。3品目はアシェットデセールでは定番の「Fondant chocolat(フォンダンショコラ)」です。
今回はこのフォンダンショコラのベース生地を「軽いタイプ」と「しっかりタイプ」の2種類に分けてご紹介して頂きました。「軽いタイプ」はスタンダードなメレンゲを使用したレシピで、「しっかりタイプ」はそれぞれの材料をロボクープを使用して混ぜ合わせていくというレシピ。後者の「しっかりタイプ」は近年人気のスウィーツ「パンケーキ」にも応用が可能な作り方という事でした。そしてこのベース生地のセンターに、MCエリアンザイヴォワールとBABBIピスタチオペーストを使用したピスタチオガナッシュを入れてフォンダンショコラの完成です。この2タイプを覚える事が出来れば、料理のボリュームによって使い分ける事が可能になるので大変実用的。さらに、どちらのタイプも冷凍保存が可能なレシピという事で、作業性にも優れます。
仕上げの際にはフォンダンショコラの上に、色鮮やかなダークレッドのラズベリーソルベを添えて、最後にダイナミックな球形のチョコレートが飾り付けられました。フォンダンショコラにスッとナイフを入れると、ダークブラウンの生地から流れるグリーンのガナッシュと、そこに添えられたラズベリーソルベが美しい色彩を描く芸術的な一皿です。
こちらは「軽いタイプ」のフォンダンショコラ生地。セルクルに流してからガナッシュを埋め込み完成。
「しっかりタイプ」のフォンダンショコラは材料をロボクープで繋げていきます。
飾り用のチョコレートは風船を使って仕込みます。チョコレートが固まったら風船を割って取り出します。
飾りチョコレートの中はラズベリーソルベ、チュイール、フォンダンショコラで構成されています。
ダイナミックなアシェットデセール。味はもちろんですが、目で楽しませるという事も大切です。
試食用のフォンダンショコラ。美しい色彩と味のバランスが見事な逸品でした。
Petits fours collection(プチフールコレクション)
Petits fours collection(プチフールコレクション)
最後にデモンストレーションされたのは、個性的なプチフールを組み合わせた「Petits fours collection(プチフールコレクション)」。
用意されたプチフールは、MCヴァヌアリノワール63%を使用したクレームブリュレ、MCケセットシリーズの中にガナッシュとクランキープラリネを入れたプチフール、MCマラルミノワール64%をビスキュイ・ムース・ガナッシュに使用したパピヨット、そしてMCのダーク・ミルク・ホワイトチョコレートをそれぞれ使用した3色ロリポップの全4種類。
中でも3色ロリポップはステファン氏お気に入りのプチフールで、自由なライン状に描かれたチョコレートに、SOSAクリスピーシリーズをトッピングした一品。昨年レポートした「SOSAアシェットデセール講習会」にも登場しております。
パピヨットの仕上げ風景。細かな作業ですが、指先に神経を集中して形を整えます。
今回のアシェットデセールには使用しておりませんが、飾り用チョコレートのデモンストレーションも披露。
アシスタントの方と見事なコンビネーションでプチフールが仕上げられていきます。
木の切り株をモチーフにした台にバランス良くプチフールを配置するステファン氏。
3色カラーのロリポップ。SOSAクリスピーシリーズのカリカリした食感がやみつきになります。
小さなプチフールでも丁寧な飾り付け。こういった一手間が作品全体のクオリティーに繋がっていきます。
ステファン・ヴュー氏
ミッシェルクルイゼルアジア地区担当デモンストレーター
スイーツシークレッツエグゼクティブシェフ
1998年、仏デザートコンクールのジュニア部門で優勝。「リシャール・クタンソー」、「ギィ・サヴォワ」といった名だたるレストランで修行を積む。味も厳しさも一流のレストランで修行後、2001年にピエール・エルメ氏に弟子入り。エルメブランドの日本進出の一員として来日。
2003年、資生堂に活躍の場を移し、資生堂パーラーを指揮。 2006年9月より、(株)グローバルダイニングのエグゼクティブ・パティシエとして、レストラン、カフェのスイーツ部門、チョコレート専門店「デカダンス ドュ ショコラ」の指揮を担う。 2009年「食べた人を毎日幸せにする」をテーマにした、デカダンス ドゥ ショコラのカジュアルライン「デカダンス ドゥ ショコラ Tous les jours」をオープン。リング状のシュー生地に様々なフレーバーのクリームを詰めたドーナッツ型スイーツ専門店「CHoux Cring」が表参道、2店舗目を池袋Echikaにオープン。新たなヒット商品を次々に生み出す。
2010年10月スイーツシークレッツ設立。デモンストレーター、コンサルタントとして活躍の場を製菓業界全体にシフトし幅広く活動。

【ステファン・ヴュー氏の講習会レポート】
■ SOSA SUMMER DEMONSTRATION 2010
■ ミッシェル・クルイゼル講習会2010
■ SOSA SUMMER DEMONSTRATION 2011 「SUMMER COCKTAIL」
■ ミッシェル・クルイゼル講習会2011
■ ミッシェルクルイゼル デモンストレーション2011
■ SOSAアシェットデセール講習会2012
■ ミッシェルクルイゼル勉強会2013
 
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