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西原金蔵シェフ講習会
「オ・グルニエ・ドール」 西原金蔵シェフ
Sweets Please ≪特別番外編≫ 講習会

 

これまでは“友達の輪”形式でシェフをご紹介いただいていた Sweets Please の講習会。

今回ははじめてその輪を離れた ≪特別番外編≫ ということで、 京都「オ・グルニエ・ドール」西原金蔵シェフを特別講師に迎えての開催となりました。 西原シェフは“厨房のダヴィンチ”と称された料理人、アラン・シャペル氏の愛弟子として活躍され、 日本のパティスリー界の礎を築いたとも言われています。

 

ご紹介いただいたレシピは 『 ズコット 』 と 『 ピスタチオとグレープフルーツのタルト 』 の2品。

なかでも 『 ピスタチオとグレープフルーツのタルト 』 は、絶対にはずせない教材として一番に挙げられたものだそうです。 離水しやすいフレッシュフルーツは、コンポートなどの工程を加えるのが一般的ですが、西原シェフはあえてフレッシュフルーツを使用。フランス菓子の製法ではなかなかお目にかかれない、シェフならではのアレンジやコツは、お菓子の中の季節感を大切にされている心遣いから生まれたタルトと言えるのではないでしょうか。

 

“惜しみなく”、あるいは“惜しげもなく”という言葉がしっくりくるほど、理論的で丁寧な説明は、ひとつの作業をかなり深いところまで掘り下げて行なわれました。おいしさという原点は、ルセット(配合や作り方)を超えたところにあると言う西原シェフ。今回の講習会では、紹介されたルセットを通じて、それ以上に西原シェフの“おいしさへの情熱”と“伝える心”を感じることができました。

 

たくさんの人々に愛されながら、ご自身の65歳の誕生日が閉店日と決まっている「オ・グルニエ・ドール」。一日一日を完全燃焼するためのゴールは、高いモチベーションの表れのように感じます。その日まで、人々にたくさんのおいしさを伝えていただきたいと思いました。

 

 
開催日
  2008年11月27日(木)
講師
  京都 「オ・グルニエ・ドール」 西原金蔵シェフ
主催
  Sweets Please」 小松崎喜美子さん
会場
  ドーバー洋酒貿易梶@講習会場
 
 
 
1品目は「ズコット」。アランシャペルでの修行時代、イタリアの名もないお店で食べたズコットの美味しさが忘れられず、そこから生まれた思い出のレシピだそうです。

  ビスキュイ生地を“絞る”という説明にも、細やかな解説をそえながら進められます。絞り口から落ちる生地の重力を感じながら、それに逆らわず絞っていくことがポイントとのこと。

  さらに図解でも解説。初心者にはわかりやすく、上級者には理論を知ることができるツボを得た解説に、“絞る”ことの奥深さを感じた一場面でした。

 
 
美しく均等な厚みで絞られた生地。本来さっくり割れるような配合のビスキュイジョコンドですが、センターとのバランスを考え、1.5倍量の粉を使用しているそうです。

  アパレイユはアングレーズにゆっくり火を入れるのが旨味のポイント。何℃で分子がどんな状態になるかを熟知した知識は、お菓子を構成する基盤が化学的根拠から成り立つことを改めて実感させられます。

  キャラメリゼしたナッツ類はそれだけで十分な存在感があるため、ナッツ系のリキュールは使わないのだとか。ナッツ類はかなりたっぷりです。

 
 
カリッと香りよくキャラメリゼされたアーモンドとヘーゼルナッツの存在感に、なめらかなアパレイユが心地よい「ズコット」。食感のコントラストが楽しめます。

  次はタルト生地を作ります。手のやさしい体温を使い、こねずにすり合わせます。この際、室温の管理やバターの温度管理など温度帯の重要性も主張されていました。   タルトリングに生地を敷き詰めるポイントも丁寧に解説。しっかり指を使うことが、焼き上がりの美しさにつながります。

 
 
ピケした面を下にすることも重要なポイントです。ピケした際にできる穴の形状を考慮することで、火通りを良くし、生地に必要以上の水分が染み込むのを防ぎます。

  タルトのクリームにはシシリー産のアーモンドパウダーとピスタチオパウダーを使います。全量をピスタチオパウダーに置き換えるなどアレンジ法もご紹介。   グレープフルーツの下ごしらえ。この下ごしらえがタルトの美味しさを大きく左右します。カットではなく、あくまで薄皮をむくこと。果肉をつぶさず、みずみずしさを残す最大のポイントはここでした。

 
 
グレープフルーツの薄皮をむいた状態です。ぷっくりとした果肉の状態が伝わるでしょうか?

  フレッシュグレープフルーツをのせた焼き上がりがこちら。コンベクションオーブンや平釜などの違いを説明しながら、熱の伝達の仕組みも解説くださいました。

  フレッシュフルーツを焼き込むことで新しい美味しさが発見できる「ピスタチオとグレープフルーツのタルト」。シェフの思い入れも深い一品です。
 
 
講習会後の武江シェフとのトークショーの様子。両シェフが銀座にいた頃の懐かしいお話や普段はなかなか聞けない趣味のお話などを伺うことができました。   トークショーの進行はスイーツコーディネーターとしてご活躍中の平岩理緒さん。シェフの引き出しからたくさんのお話を引き出してくださいました。   Sweets Please 小松崎さんの熱いラブコールに応え、想いがたくさん詰まった講習会&トークショーとなりました。
 

西原金蔵シェフ

「オ・グルニエ・ドール」 西原金蔵シェフ

 

1953年岡山県出身。京都グランドホテル、辻調理師専門学校を卒業後渡仏。レストラン「レカミュ」などで修行。帰国後は神戸「アランシャペル」に入社。1987年に再渡仏し「アランシャペル」ミヨネー本店製菓長に就任。帰国後は「ホテルオークラ神戸」「資生堂パーラー」などを経て、2001年「オ・グルニエ・ドール」をオープン。お店やお菓子教室には、西原シェフを慕って、遠方からも連日多くのお客様が訪れている。

 

▼ 「オ・グルニエ・ドール」

京都市中央区堺町通錦小路上ル527-1

 



 

 

 

 

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