洋菓子講習会のレポートが多いTFOODSですが、今回は製パン講習会に参加しました。
日本オーストリア食文化協会による、本場オーストリアのパンを学ぶ講習会です。
講師は福岡「ベッカライ&コンディトライ・サイラー」アドルフ・サイラー氏。
オーストリアのパン職人の家に生まれ育ち、現在は福岡にて伝統的なオーストリアのパンを作り続けています。
オーストリアの食卓に欠かせないパンといえば、やはり「カイザーゼンメル」。
バターやマーガリンではなくラードを使うのが本場の味だそうで、オーストリアでは良質のラードを仕入れるため、肉屋・パン屋・レストランを一緒に経営している店も多いのだとか。サイラーさんの店で出すカイザーゼンメルにも、熊本の肉屋で仕入れる質の良いラードが使われているそうです。また、オーストリアではフランスパンにもカイザーゼンメルの生地を使用するそうで、いかにこの味が生活に根付いているのかがよくわかりました。
サイラーさんは、プレッツェルに明太子やチリソースを入れたり、日本で新しい組み合わせを模索するなど、柔軟なアイデアを取り入れています。その一方で、絶対にこれだけは守るポイントというものがあり、「ルートをはずさないことが大事」と、講習会の最中も繰り返しアドバイスをしていました。
「本場の味を作り続けること、伝統の味を伝え続けることがわたしのパン職人としての誇りです」というサイラーさん。
その国で昔から根付く食の原点をあらためて知ることで、新しいパンの楽しみ方を知ることができた講習会でした。
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