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「パティスリー キャロリーヌ」 中川二郎シェフ
第6回 Sweets Please 講習会

 

小松崎喜美子さん主催・Sweets Please 第6回講習会のレポートです。

前回の講師である「ドゥー・シュークル」佐藤均シェフのご紹介で、

今回は東京練馬区「パティスリー キャロリーヌ」の中川二郎シェフが講師として招かれました。

 

講習会でご披露いただいたお菓子は3種類。

チリ産パパイヤ“カリカ”という日本では珍しいフルーツを使った生菓子「カリオール」、

中国緑茶のクリームにリンゴのコンポートをあわせた生菓子「アメリ」、マンゴーのパウンドケーキ「パン・オ・マング」です。

 

東京製菓学校で12年間教鞭をふるっていた中川シェフは、常に「どうしてだと思う?」と疑問をなげかけ、

なぜこういう作業をするのかという理由を会場のお客様に示してくれました。

「お菓子作りで、なぜ? どうして? と感じることはとても重要なこと」

そう繰り返すのは、美味しさを追求するシェフの信条の表れなのでしょう。

食材においても安全で美味しいものという考えから、ご自身のお店では季節の果物を直接農家から仕入れ、

卵も生菓子用には殺菌卵、焼き菓子用には契約養鶏農家の自然卵と

作るお菓子によって使い分けをしていらっしゃるそうです。

「お菓子作りに正解はない。目的はただ美味しいものを作ること、それだけです」との言葉から

お菓子作りのための様々な知識も、数ある手法や経験も、目指すところはその一点のためにあるのだなと感じました。

 

 
開催日
  2008年9月5日(金)
講師
  パティスリー キャロリーヌ」 中川二郎シェフ
主催
  Sweets Please」 小松崎喜美子さん
会場
  ドーバー洋酒貿易梶@講習会場
 
 
 
Sweets Pleaseは美味しいお菓子と、その作り手であるシェフの想いを伝えるアットホームな会。レシピにはシェフの経歴が添えられています。

  まずは今回のお菓子についての説明から。やさしそうな笑顔と物腰やわらかな語り口が印象的です。   これがチリ産パパイヤ・カリカのシロップ漬。アメリカではポピュラーな素材だそうです。果肉はナタデココのような食感でした。
 
 
「カリオール」の底生地・パートサブレショコラはOPPシートを使い冷凍。フランスのガストン・ルノトール氏が広めた冷凍技術のおかげでお菓子業界は飛躍的に進歩したのだそう。

  カリカのジュレにはアボカドや洋梨が入っています。このジュレもこのまま冷凍するため、凝固剤には冷凍可能なアガーを使用。   ピケをしないでも生地浮きせずに焼き上げるドゥマール社のシルパンは定番のアイテムですね。
 
 
繊細な模様が美しいこのシートは、側面の模様付けに使います。シェフが雑貨屋さんで見つけたものだそうです。   さかさ仕込みでクレームとビスキュイを重ねます。ビスキュイは全体の調和を考え、小麦粉が入らないミルクチョコレートベースの配合です。   カリカシロップ入りの口溶けなめらかなクレームに、カリカ・洋梨・アボカドのジュレが引き立つ「カリオール」。底生地のサクっとした食感が全体を引き締めています。

 
 
シェフは小ベラを使って、容器や攪拌フックに付いた生地をとても丁寧にすくい取ります。1g単位でも配合を無駄にしないためです。   「パン・オ・マング」はフラワーバッター法で。空気を入れる工程がないため、ふくらまない分、風味や味わいをしっかり際立たせることができます。

  パウンドケーキの生地を型に流し込んだ後、表面をこのようにならす理由を、皆さんきちんと答えられますか?
 
 
理由は、焼成によって紙が内側に丸まり、生地にくっつくのをを防ぐため。何気なく行なっている作業の理由を、ちゃんと知っておくのはとても大切なことと教わりました。

  もっちり感のある「パン・オ・マング」はマンゴーの風味やナッツの香ばしさなど、噛むごとに味わい深さが感じられる一品です。   「アメリ」は生地やクリームに中国緑茶を使います。写真はシェフが気に入って使っているお茶。このほか「アメリ」には津軽リンゴのコンフィをあわせます。
 
 
中国緑茶の香りを加え、バタークリームを作ります。バタークリームの本当の美味しさを伝えたいと、温度の重要性など説明にも熱が入ります。

  「アメリ」のビスキュイにもミルで細かく粉砕した中国緑茶が入ります。ローストしたクルミは食感のアクセントに。   表面に小さな花模様のついたシートを置き、やさしいピンクのチョコレートを吹き付けます。絵を書くとき使うエアーブラシを使います。

 
 
ケーキはその日のインスピレーションで飾り付けるのだとか。とても楽しげにフルーツ飾り付ける中川シェフです。

  名前も可愛らしい「アメリ」はフランスの小さな女の子の名前から。中国緑茶のバタークリームにあわせた爽やかなリンゴのコンフィがさっぱりとした後味を演出してくれます。   「未来の巨匠です」と、若いスタッフさんの育成にも力を入れていらっしゃる中川シェフ。その言葉通り、無駄のない動きでシェフのサポートをつとめていました。
 

「パティスリー キャロリーヌ」 中川二郎シェフ

 

1961年和歌山生まれ。

1981年東京製菓学校卒業後、都内フランス菓子店にて修行。

1992年渡仏。「ベルエ・コンセイユ」「アンフィレクス」「ジェラール・ミロ」「ピエール・モデュイ」で修行。帰国後は東京製菓学校で12年間講師を務める。

2003年に独立し、東京練馬区に「パティスリー キャロリーヌ」をオープン。

このほか東京都洋菓子協会指導委員、日本洋菓子協会指導委員、目白大学短期大学部・製菓学科教授としても活躍中。


▼ パティスリー キャロリーヌ

http://www.patisserie-caroline.com/



 

 

 

 

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