2015年1月、フランス・リヨンにて、2年に1度の世界を代表する製菓大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」が開催されます。この大会に先駆けて、2014年3月26日・27日の2日間、東京都内・高田馬場にあります東京製菓学校で、日本代表を決める日本国内予選決勝が開催されました。
日本国内予選決勝のテーマは「ダンス」。このテーマを題材に、決勝まで進んだ「アントルメ・ショコラ、アメ細工」A部門の12名、「アシェット・デセール、チョコレート細工」B部門の5名、「アントルメ・グラッセ、氷彫刻」C部門の4名が、各部門それぞれ1名の本大会出場権をかけて激しく競い合います。 日本国内予選決勝大会1日目
国内予選決勝大会1日目の26日(水)は、A部門とC部門の競技が行われました。A部門は決勝大会の中でも最多の12名が出場。3部屋・各4名に分かれて競技を行います。 競技は朝の8時からスタート。そこから7時間後の15時までに、アメのピエスモンテとアントルメ・ショコラを完成させていきます。 ピエスモンテを作成する上で、何といっても大変な作業となるのが、各パーツ作り。それぞれ選手たちは、完成した作品を頭の中にイメージしながら、花びら1枚から何十個にも及ぶパーツを次々と作り上げていきます。しかし、作品の制作のみに意識を集中させているだけでは、この決勝を勝ち抜くことは出来ません。 クープ・デュ・モンドをはじめ、国際的なパティスリー大会では、完成した作品の素晴らしさはもちろんですが、作業工程の段取りや整理整頓に至るまで、あらゆる要素が審査の対象となります。その為、各選手たちは、作品への集中力と共に、作業への集中力も高めた状態で、素早く正確に進めていきます。 C部門は前半と後半の2部構成。まず前半は9時から12時までの間でアントルメ・グラッセを仕込みます。その後、氷の搬入を行い、13時30分から15時にかけて、後半の氷彫刻を完成させるというタイムスケジュール。 前半はアントルメ・グラッセという事もあり、各選手たちは作業台と冷凍庫を何度も往復しながら作業を進めて行くのですが、アントルメのデコレーションとして、アメ細工やチョコレート細工も時間内に並行して作成するので、かなりスピード感あふれる展開が続きます。そしてあっという間に前半の3時間が過ぎ、終了の掛け声がかかります。 「ブォーン!」というチェーンソーの大きな音と共に、各選手たちは次々と氷柱を削り始めます。チェーンソーでおおまかに形を整えた所で、今度は大小さまざまなノミやドリルを用いて、細部まで仕上げていきます。この日は気温が少し高かった影響もあり、各選手は細部の調整に苦労していた様子。前半同様、スピーディーな作業が求められます。 そして迎えた15時、競技終了の時間となりました。 今年は幸いにも、移動時に大きなトラブルはありませんでしたが、クープ・デュ・モンドの本大会・予選共に、移動の途中でピエスの倒壊や破損が起きる可能性があるだけに、会場中の人々が、息を殺しながら様子を見守るという印象的な場面となりました。 全てのピエスが審査室に移動すると、いよいよ作品の審査とデギュスタシオン(試食審査)が行われ、国内予選決勝大会1日目は終了となります。 会場の外では、選手たちの熱のこもった作品を一目見ようと、この日の夕方から始まる一般公開に先駆けて、東京製菓学校の入り口には数十人の集まりができていました。この予選会の注目度の高さが伺えます。 日本国内予選決勝大会2日目
昨日の興奮冷めやらぬ中、国内予選決勝大会2日目のB部門がスタートとなります。この日のB部門は、アシェット・デセールとチョコレート細工の競技となりますが、天気はあいにくの雨。しかし雨のお陰で、昨日より気温が下がり、湿度もそれほど感じられなかったので、作業コンディションとしてはまずまずだったのではないでしょうか。 B部門は2部屋、それぞれ2名と3名に分かれて競技を行います。室内にはカカオバターの香りが漂う中、エアブラシと冷却スプレーの「シュー」という音が絶え間なく響きます。 テンパリングで生じる光沢を活かしたパーツはもちろんですが、作品のイメージに合わせて、マットな質感のパーツなども用います。さらにエアブラシを使用したピストレも、チョコレートならではの表現方法と言えるでしょう。 しかしそんな中も、長時間に渡り作品に向かい合う選手たちの真剣な眼差しには、今まで積み重ねてきた努力とクープ・デュ・モンド本大会を目指す強い想いが感じられます。
そして時刻は15時となり、2日目の競技も終了を迎えます。
この日も競技終了後には、ピエスを審査室へ移動してから審査が行われましたが、1人の選手の作品が審査の途中で崩れてしまうというトラブルが発生しました。 数時間にも及ぶ競技を終えた選手の気持ちを考えると、大変厳しい結果となりましたが、これも大会の難しさを物語っているといえるでしょう。 審査結果
かくして2日間にわたる熱戦は終了となりました。審査の結果は、大会翌日の3月28日(金)にフランス大使館にて発表されました。大会の結果は以下の通りになります。
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A部門「アントルメ・ショコラ、アメ細工」 ■ 金賞 中山 和大(オクシタニアル) ■ 銀賞 駒居 崇宏(スタジオ・シュゼット) ■ 銅賞 須藤 真裕(名古屋マリオットアソシアホテル) B部門「アシエット・デセール、チョコレート細工」 ■ 金賞 コ永 純司(ザ・リッツ・カールトン東京) ■ 銀賞 植ア 義明(森永商事株式会社) ■ 銅賞 白山 隆浩(ANAクラウンプラザホテル大阪) C部門「アントルメ・グラッセ、氷彫刻」 ■ 金賞 杉田 晋一(グランドハイアット東京) ■ 銀賞 山本 隆夫(クラブハリエ) ■ 銅賞 堀田 悟(ラ・プラージュ) ───────────────────────
見事、金賞に輝いた3選手は、国内予選を勝ち抜いた確かな技術と自信を胸に、2015年1月にフランス・リヨンで行われるクープ・デュ・モンド本大会に向けて動き出します。
2013年に行われた前回大会では、惜しくも2位という結果になりましたが、今回大会こそは世界の頂点に輝く事を期待しています。 そして今回、熱戦を繰り広げた全ての選手たちに、感謝の気持ちを送りたいと思います。 素晴らしい戦いをありがとうございました。 クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー
1989年にM.O.F.(フランス最優秀職人章)の称号をもつガブリエル・パイアソン氏と、フランスのトップチョコレートメーカー・ヴァローナ社によって設立された、世界を代表するパティスリーコンクール。開催は2年に1度行われ、世界20か国以上から各国の予選を勝ち抜いたパティシエたちが、「アメ細工、アントルメ・ショコラ」、「チョコレート細工、アシエット・デセール」、「氷彫刻、アントルメ・グラッセ」の3部門の競技で、世界の頂点を目指して腕を競い合います。▼ クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー(日本サイト) http://www.cdmp-japan.jp ▼ クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー(本選サイト) http://www.cmpatisserie.com ヴァローナ(VALRHONA)社について
1922年フランス、ローヌ地方の菓子職人が創業。 カカオの品種や産地別に分類した商品をいちはやく展開した世界トップクラスのチョコレートメーカー。 超一流洋菓子店、レストラン、ホテルご用達の製菓材料であり、個性的な商品構成は、 その商品名が時にケーキやドリンクの名前にも付けられるほどの存在感です。 2007年には、フランスに次いで世界で2校目になるショコラの専門技術学校を、東京に設立。 さまざまな研修プログラムが用意されている。▼ ヴァローナ・ジャポン http://www.valrhona.co.jp/ ▼ ヴァローナ オンライン・ブティック http://boutique.valrhona.co.jp ▼ エコール・ヴァローナ 東京 http://www.valrhona.co.jp/ja/valrhonacontent/ecolevalrhonatokyo.htm ▼ ヴァローナ・メールマガジン 研修や新製品などの情報が、携帯Eーメールに届きます。 ご希望の方は、こちらをご参照ください。 |
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