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マルコ・ヨンケル氏によるラビフリュイ×BUKO講習会
4月3日、株式会社エム・シー・フーズのテクニカルアドバイザーを務めるマルコ・ヨンケル氏による「ラビフリュイ×BUKO講習会」が、株式会社エフ・エム・アイ東京本社テストキッチン(港区麻布台)にて開催されました。

今回の講習会は、ラビフリュイのフルーツ加工品やBUKOのクリームチーズなど、講習会を主催するエム・シー・フーズが取り扱う製菓材料の使い方を中心に、「すぐに役立つテクニック」「明日から使えるバリエーション」をテーマとして、全8品のデモンストレーションが披露されました。

複雑な構成のアントルメや焼き菓子ではなく、定番レシピのアレンジやバリエーションの付け方といった、職場ですぐに取り入れやすいアイデアが随所に盛り込まれた実用的な内容の講習会となりました。

開 催 日 2019年4月3日
講 師 マルコ・ヨンケル氏 (株式会社エム・シー・フーズ テクニカル・アドバイザー)
主 催 株式会社エム・シー・フーズ
オレンジ、レモン、ライムのペースト
最初の作品は「オレンジ、レモン、ライムのペースト(Paste Orange,Lemon,Lime)」。本作品はオレンジ、レモン、ライムをそれぞれペースト状に加工したもので、生菓子や焼き菓子の生地などへの混ぜ込み素材として使用します。

作り方は非常に簡単で、オレンジのペーストとレモンのペーストは、それぞれオレンジピール(ラビフリュイ)又はレモンピール(ラビフリュイ)を同量のグラニュー糖と混ぜ合わせてからフードプロセッサーに掛けてペースト状に加工するだけ。ライムのペーストは、冷凍カットライム(アスク)、グラニュー糖、トレハロースを同じく同量で混ぜ合わせてからフードプロセッサーに掛けてペースト状に加工します。

完成したペーストは冷凍保存することが可能なので、使いたい時に必要な量だけ解凍することができて実用的。シンプルなレシピながら、フルーツの風味がしっかりと感じられるペーストで、市販品のように乳化剤や保存料といった添加物も含みません。
ペーストの仕込みにはフードプロセッサーを使用。
各フルーツのピールと糖類を同量合わせてペースト状に加工。
完成したオレンジのペースト。生菓子や焼き菓子への混ぜ込みに。
オレンジ&アールグレイのパウンドケーキ
2作品目は「オレンジ&アールグレイのパウンドケーキ(Orange & Earl Grey Pound)」。素材の組み合わせとして相性の良いオレンジとアールグレイの香りを活かしたケイク菓子です。

こちらのパウンドケーキの最大の特徴となるのが、油脂分にクリームチーズ・ソフトタイプ(BUKO)を使用すること。バターは一切配合していない為、軽い食べ心地と程良い酸味が特徴的。昨今、製菓業界で問題視されているバター不足の時にも対応が可能なレシピとなります。

生地の作り方は、粉類、糖類、アールグレイ茶葉、オレンジコンサントレ、オレンジペースト、クリームチーズ・ソフトタイプ、卵白をフードプロセッサーでミキシングしたものに、メレンゲを混ぜ合わせて仕込みます。仕込んだ生地は、円筒形のシリコン型に絞り入れて焼成。本作品はパウンドケーキですが、あえてパウンド型とは異なる形状に焼き上げてオリジナリティを演出しています。

焼き上げた生地には、カオバ41%(エルレイ)に黒糖と焦がしバターを混ぜ合わせたグラッサージュでコーティング。デコレーションとして、葉型のチョコレート、ヘーゼルナッツ、ゴールドのリボンをシンプルに飾り付けて完成です。
パウンドケーキの生地にはバターの代わりにBUKOクリームチーズ・ソフトタイプを使用。
仕込んだ生地は円筒形の型に絞り入れて焼成。パウンド型とは異なる形状に焼き上げます。
「UNOX XBシリーズ」のオーブンで焼成。高性能なスチームコンベクションオーブン。
焼成後はカオバ41%に黒糖と焦がしバターを混ぜ合わせたグラッサージュでコーティング。
葉型のチョコレート、ヘーゼルナッツ、ゴールドのリボンをシンプルに飾り付けて完成。
洋梨、パバナ&ココナッツのシャーベット
3作品目は「洋梨、パバナ&ココナッツのシャーベット(Sorbet Poire,Pabana & Coconuts)」。

作り方は、洋梨のシャーベットとパバナ&ココナッツのシャーベットのどちらも同じ手順で仕込みます。まずは水、糖類、安定剤を鍋で沸騰させてベース液を作り、冷蔵庫で一晩休ませます。次に一晩休ませたベース液に各種ピューレを加えてハンドブレンダーでしっかりと攪拌します。最後にこのアパレイユをアイスクリームマシンにかけてシャーベットの完成です。

洋梨のシャーベットには、洋梨ピューレ(ラビフリュイ)と少量のクラッシュレモンピューレ(ラビフリュイ)を使用。パバナ&ココナッツのシャーベットには、ベース液にパバナピューレ(ラビフリュイ)を使用し、アイスクリームマシンにかけてからココナッツの粒状ピューレ(ラビフリュイ)を混ぜ合わせています。
まずは水、糖類、安定剤を鍋で沸騰させてベース液を作成。
先述したベース液にピューレを加えてハンドブレンダーで攪拌。
最後にアイスクリームマシンにかけてシャーベットの完成。
マルゥ&エルレイのフォンダン・ショコラ
4作品目は「マルゥ&エルレイのテリーヌ・ショコラ(Terrine Chocolat Marou & Elrey)」。今回の講習会を主催するエム・シー・フーズが取り扱うマルゥとエルレイのチョコレート使用したプチガトータイプのテリーヌ・ショコラです。

メインとなるテリーヌ・ショコラは、溶かしたメコン64%(マルゥ)とクリームチーズ・ソフトタイプに、糖類、粉類、卵、ライムペーストを混ぜ合わせてから湯煎焼きにして仕込みます。2作品目のパウンドケーキに引き続き、バターの代わりにクリームチーズを配合しているので食べ心地が軽く、ライムの風味が爽やかなテリーヌ・ショコラです。

テリーヌ・ショコラの上に配置されている白いクネルは、イコア34%(エルレイ)のムース。溶かしたイコア34%に泡立てた生クリーム、ゼラチン、ライムジュースを混ぜ合わせたシンプルなレシピで作られています。メインとなるテリーヌ・ショコラと同じくライムの香りがアクセントです。
テリーヌ・ショコラはメコン64%とクリームチーズ・ソフトタイプに各種材料を混ぜ合わせて生地を作成。
仕込んだテリーヌ・ショコラの生地は円形のシリコン型に絞り入れて湯煎焼き。
こちらはデコレーションに使用するイコア34%のムース。クネルにする為、タッパー容器に流して冷蔵。
焼成したテリーヌ・ショコラは上面だけをグラッサージュでコーティング。
事前に仕込んだイコア34%のムースとデコレーション用のスポンジを飾り付けて完成。
サヴァラン・バリエーション
5作品目は「サヴァラン・バリエーション(Savarin Variation)」。こちらのデモンストレーションでは、発酵生地を使用した伝統的なフランス菓子“サヴァラン”のバリエーションレシピを紹介しています。

サヴァラン生地は、粉類、砂糖、塩、水、卵、イーストを低速でミキシングして、グルテンがしっかりと形成された段階で溶かしバター、卵、水をさらに加えるという2段階の工程で仕込みます。仕込んだ生地は、シリコン製のサヴァラン型に絞り入れ、ホイロで発酵させてから焼成。サヴァラン生地は、バリエーションを問わず同じ生地を使用します。

焼成したサヴァラン生地は、シロップ、クリーム、グラッサージュをアレンジすることでバリエーションを増やします。周知の通りサヴァランは、生地にシロップをたっぷりと浸み込ませるお菓子なので、シロップに使用するアルコールの種類を変えたり、フルーツピューレなどを加えることで、生地の味・風味を大きく変えることが可能です。後はシロップに合わせて、クリームやグラッサージュを変えるだけで、様々なバリエーションのサヴァランに仕上がります。このアレンジであれば、生地はプレーンなものを1種類のみ仕込めば良いので、仕込みの負担が大きく増えることはありません。

この日のデモンストレーションで紹介されたサヴァランのバリエーションは、「ココナッツ&アプリコット」、「パバナ」、「ストロベリー&バジル」の3種類。先述した通り、プレーンな生地をベースにしてシロップ、クリーム、グラッサージュなどをアレンジしただけですが、どちらのサヴァランも味・見た目ともに印象の異なる仕上がりとなっています。
サヴァラン生地はグルテンがしっかり形成されるまで低速でミキシング。
グルテンが形成された段階で溶かしバター、卵、水を加えていきます。
仕込んだサヴァラン生地は型に絞り入れて発酵させてから焼成。
焼き上げた後はシロップに漬け込み、ゆっくりと生地にシロップを浸み込ませていきます。
デコレーションのクリームやグラッサージュを変えて様々な種類のサヴァランに仕上げます。
チーズスフレ・バリエーション
6作品目は「チーズスフレ・バリエーション(Cheese Souflee Variation)」。前作品はサヴァランのバリエーションレシピでしたが、こちらでは軽い食感が特徴的なクリームチーズを使用したお菓子“チーズスフレ”のバリエーションレシピを紹介しています。

ベースとなるチーズスフレは、軽めに炊き上げたカスタードクリームに、クリームチーズ(BUKO)、焦がしバター、メレンゲなどを混ぜ合わせてから、湯煎焼きにして仕込みます。レシピには焦がしバターが配合されているので、クリーミーで爽やかなクリームチーズの風味と共に、香ばしいバターの香りが感じられるチーズスフレとなります。

こちらの作品でもベースとなるチーズスフレは同じものを使用して、グラッサージュやトッピングなどをアレンジすることでバリエーションを増やしています。デモンストレーションでは「パバナ」、「赤桃」、「ココナッツ」の3種類のバリエーションを披露。「ココナッツ」のバリエーションでは、丸形のチーズスフレを大小2段に重ねることで“スノーマン”にアレンジしています。
チーズスフレは軽めに炊き上げたカスタードクリームがベース。
このカスタードクリームにクリームチーズやメレンゲなどを混ぜ合わせます。
立体的な丸形のシリコン型に絞り入れ、湯煎焼きにして焼成。
グラッサージュやトッピングをアレンジして3種類のバリエーション。
同じチーズスフレを使いながらも工夫次第で個性的な仕上がりに。
モンブラン・バリエーション
7作品目は「モンブラン・バリエーション(Mont-Blanc Variation)」。前の2作品に引き続き、こちらの作品ではマロンを使ったお菓子としてお馴染みの“モンブラン”のバリエーションレシピを紹介しています。

本作品のモンブランでは、カオバ41%のムース・ショコラにスポンジ生地と乾燥焼きしたメレンゲを組み合わせたものをベースとして使用し、外周のデコレーションクリームをアレンジすることでバリエーションをつけています。デモンストレーションで紹介されたバリエーションは「マロン」、「紅芋」、「メレンゲ」の3種類です。

3種類のデコレーションクリームは、ベース部分を包み込むようにフリル状にクリームを絞り、華やかな印象のモンブランに仕上げています。クリームの種類と合わせて絞り方をアレンジすることで、より効果的にバリエーションを増やすことが可能です。
モンブランのベース部分はムース・ショコラ。チョコレートにはカオバ41%を使用。
仕込んだムースはスポンジを重ねて冷凍。モンタージュの際には乾燥したメレンゲを重ねます。
デコレーションクリームを絞るマルコ氏。ベース部分を包み込むようにクリームを絞ります。
回転台を巧みに動かしながらフリル状にクリームを絞ります。上手に絞るには練習が必要。
クリームの種類と合わせて絞り方をアレンジすると効果的にバリエーションを増やすことができます。
ラビフリュイ&ブコ・ドリンク
8作品目は「ラビフリュイ&ブコ・ドリンク(Ravifruit & Buko Drink)」。その名称の通り、ラビフリュイのフルーツ加工品とブコのクリームチーズ・ソフトタイプを使用したスムージータイプのドリンクです。

ドリンクのベースとなるのは、牛乳、クリームチーズ・ソフトタイプ、トレハロース、安定剤を加熱して混ぜ合わせたもの。こちらのベースにラビフリュイのコンポートやIQFホールなどを氷と一緒に加えて、スムージー用のミキサーにかけて完成です。

今回のデモンストレーションでは、会場となるエフ・エム・アイが取り扱う「ブレンテック STEALTH885」というミキサーを使用してスムージーを作成。こちらのミキサーは、ミキシング容器の周りに防音カバーが取り付けられており、ミキシング時の騒音が大幅に軽減される設計になっています。特にスムージーの仕込みには最適なミキサーで、氷を粉砕する大きな音を周りに響かせることなくスムージーを作ることが可能です。
ベース液に各種フルーツ素材と氷を混ぜ合わせ、スムージー用のミキサーでミキシング。
「ブレンテック STEALTH885」というミキサーを使用。防音カバーを取り付けた静音設計。
エフ・エム・アイの松下氏。講習会で使用した機器の特長を分かりやすく解説。
マルコ・ヨンケル氏
オランダ出身。14歳から菓子作りに目覚め、フランスやドイツのパティスリーで経験を積む。1997年に青森県のパティスリー「アルパジョン」のシェフ・パティシエとして来日。1998年、東京青山「ルコント」にてフランス菓子展開事業の一翼を担う。2001年、結婚式場「ヴィラ・デ・マリアージュ」にてエグゼクティブ・フード・マネージャーを務め、メニュー開発やカフェの立ち上げを手掛ける。2012年より株式会社エム・シー・フーズのテクニカル・アドバイザーに就任。
 
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