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ジャパン・ベルコラーデ・アワード2018
2018年7月26日、世界中のプロフェッショナルから支持を受けるベルギーチョコレートブランドのベルコラーデ(ピュラトスジャパン株式会社)が主催する「ジャパン・ベルコラーデ・アワード2018 最終審査」が開催されました。

2018年で第7回大会を迎えたジャパン・ベルコラーデ・アワードは、国内で活躍するパティシエ、ショコラティエに技術向上の機会を提供することを目的とした製菓コンクール。これから世界的なコンクールを目指す若い職人を中心に、今年もたくさんの作品がエントリーされました。

ジャパン・ベルコラーデ・アワード2018の競技テーマは「Anniversary(アニバーサリー)」。このテーマを基に第1次審査として、ボンボンショコラ、スナック(チョコレートを使用した菓子)各1種類と、チョコレート・ピエスモンテ1台(写真のみ)を提出。見事、審査を通過した8名のファイナリストは、最終審査として制限時間内に第1次審査で応募した作品の制作を行います。2018年の最終審査の競技時間は「5時間」。過去の6大会より1時間長い競技時間となりました。

競技を審査するのは、審査員長のステファン・ルルー氏(MOF、ピュラトス/ベルコラーデ本社デモンストレーター)を始め、最終審査責任者の和泉光一氏(アステリスク オーナーシェフ)、川村英樹氏(アテスウェイ オーナーシェフ)、藤田浩司氏(クールジャパン株式会社 取締役)、赤羽目健悟氏(株式会社帝国ホテル)、ヨリス・バンヘー氏(ピュラトスジャパン株式会社 テクニカルセールスディレクター)の6名。また、朝田晋平氏(パティスリーアプラノス オーナーシェフ)と垣本晃宏氏(ASSEMBLAGES KAKIMOTO オーナーシェフ)の2名が、先述した審査員と共に競技のルールや審査の方向性などの大会規定の作成を行うアドバイザーを担当しました。

大会当日は大宮にある埼玉ベルエポック製菓調理専門学校を会場にして午前8時から競技スタート。今大会から競技時間が1時間長くなったことで、より難易度の高い作品に取り組むことが可能となりました。しかしその反面、集中力の持続やペース配分には各選手ともに苦労したことだと思います。そして午後1時、審査員による時間終了の掛け声と共に5時間に及ぶ競技は終了。競技終了後は各選手が作品について1分間のプレゼンテーション。審査員に向けて最後の想いを伝え、当日の夕方に行われる審査結果発表を待ち望みます。

ジャパン・ベルコラーデ・アワード2018 各賞受賞者発表
ジャパン・ベルコラーデ・アワード2018の審査結果発表と表彰式は、競技が行われた同日に浦和ロイヤルパインズホテルにて行われました。会場にはファイナリスト8名と審査員を始め、大勢の大会関係者たちが集まりました。ジャパン・ベルコラーデ・アワード2018の審査結果は以下の通りになりました。

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【 優 勝 】
山本 和希 (菓子工房みずほ)

【 準 優 勝 】
星 陽二 (パティスリーアプラノス)

【 銅 賞 】
平澤 竜也 (洋菓子マウンテン)

【 部 門 賞 】
■ ベスト・ボンボンショコラ賞 : 山本 和希 (菓子工房みずほ)
■ ベスト・スナック賞 : 平澤 竜也 (洋菓子マウンテン)
■ ベスト・チョコレート・ピエスモンテ賞 : 山本 和希 (菓子工房みずほ)
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金賞 山本 和希(菓子工房みずほ)
チョコレート・ピエスモンテ「Memories of cake 〜 思い出のケーキ 〜」
記念日のケーキを作るパティシエをイメージしました。立体的に作成したパティシエをメインにして、ケーキスタンドやホイッパーなどパティシエに関連する道具をバランス良くモンタージュしています。ピエスモンテに組み合わせているボンボンショコラとスナックも、パティシエに関連するデザインにすることで、ピエスモンテとリンクするように仕上げています。


ボンボンショコラ「Buche 〜 アマンドオランジェカネル 〜」
レ・コレクシオン・ベネズエラとアーモンド・プラリネ60を使用したガナッシュ・アマンド・カネル、ブラン・セレクシオンとオレンジを合わせたブラン・オレンジ・ガナッシュ、オレンジ風味のフィアンティーヌの3層で構成しました。メインの素材にアーモンド、オレンジ、シナモンの3種類を使用することで“ブッシュドノエル風”に仕上げています。


スナック「Raspberry short 〜 ラズベリーショート 〜」
チョコレートで作るベリーのショートケーキをイメージしました。ほろ苦さが特徴のノワール・コレクシオン・ペルーをガトーショコラに使い、ラズベリージャムには花椒を使うことでフルーティーな香りを演出しています。ジャンドゥーヤはレ・キャラメルでミルキーさを加え、小麦粉を使用したモルトパフで食感にアクセントを付けています。
※作品の解説は選手の応募書類より抜粋
銀賞 星 陽二(パティスリーアプラノス)
チョコレート・ピエスモンテ「toujours」
アニバーサリーというテーマから、人生で重要なポイントとなる“プロポーズ”の場面を連想し、その瞬間を表現しました。白い百合の花言葉である“純粋”さと、幸せの象徴である“うさぎ”をモチーフにデザインし、組み上げました。


ボンボンショコラ「Marions – nous!」
レ・キャラメルに紅茶とシナモンを効かせ、オレンジシナモンティーのような味わいを表現しました。全体的にオレンジを使い統一感を持たせているので、爽やかな香りを感じられ、食べやすくなっています。味を言葉で表現すると“爽やかなプロポーズ”です。また、今回重要視したのが形です。テーマであるアニバーサリーにちなみ、ピエスモンテでプロポーズを表現している為、宝石の形を表現しました。きれいな丸みを帯びた形が特徴です。


スナック「Je t’aime」
まず第一に、見た目が可愛らしくなるように、コルネ型を選びました。食感の変化を楽しめる一品にすることを大切に考案しました。外側からのパイの“サクッ”とした食感、ガナッシュモンテの“軽くなめらかな”食感、中心のコンフィチュールバナナの“ねっとり”とした食感、というそれぞれ異なる食感の構成です。芳醇なバナナの香りを際立たせる為に、少量のラム酒を効かせています。ペルーのフルーティーな風味とコーヒーの苦みを掛け合わせ、“大人のエレガントさ”を追求しました。
※作品の解説は選手の応募書類より抜粋
銅賞 平澤 竜也(洋菓子マウンテン)
チョコレート・ピエスモンテ「Le coq(ル・コック)」
誰もが一番多く経験する記念日と言えば誕生日だと思い、タキシードを着たオス鶏のしっぽをブーケに見立て、華やかさを表現したピエスモンテ。ピエスモンテに組み合わせているボンボンショコラには卵の形を、スナックには巣の形をそれぞれ用いました。


ボンボンショコラ「Écolore(エクロール)」
記念日にはイチゴのお菓子を食べるという発想から作ったボンボンショコラ。イチゴの甘酸っぱさに、ライムの爽やかな香り、アーモンドの香ばしさをプラスし、大人から子供まで食べやすい味を意識しました。ヒナが孵化する様子を表し、ピエスモンテとの関連性を持たせています。


スナック「Nest(ネスト)」
チョコレートが売れにくい夏場に食べやすいようにマンゴー、パッション、バナナをメインにスペキュロスの香りをアクセントに構成しました。ピエスモンテとの関連性を持たせるために、巣(ネスト)の形に仕上げました。
※作品の解説は選手の応募書類より抜粋
金賞 山本和希選手(菓子工房みずほ)のコメント
競技中は色々とハプニングが起きてしまい、優勝は厳しいと考えていました。それだけに今の気持ちは嬉しさ半分・驚き半分です。 ジャパン・ベルコラーデ・アワードへの出場は2014年に引き続き2度目となります。2014年に出場した時は、製菓コンクールに参加しやすい環境が整った職場で働いていましたが、現在働いている実家のパティスリーは、徳島県の田舎にあり、製菓コンクールへの出場に適した環境とは言えません。しかし、そんな環境の中で“優勝”という最高の結果を残せたことが本当に嬉しいです。 最後に、練習をサポートしてくれた会社のスタッフや、作品に対してアドバイスを下さった方々に感謝の気持ちを送りたいと思います。ありがとうございました。
最終審査責任者・和泉光一氏による大会講評
ピエスモンテについて
今大会から競技時間が4時間から5時間へと変更になりました。これにより今までの競技時間では困難だったテクニックや表現方法が可能となり、全体的な作品のサイズアップへと繋がりました。その中で各選手とも見直してほしいのが、テンパリングなどの基本的なチョコレートの技術です。時間が延びたからといって、単純にサイズアップをするだけではなく、基本に立ち返って小さなミスを減らしていけば、自分の表現したい作品に結びつくと思います。

ボンボンショコラ・スナックについて
上位を争っていた選手たちは、どの選手も甲乙付けがたい接戦となりました。その中で点数の差が開くポイントとなったのがフィニッション(仕上げ)とピエスモンテとの親和性です。各選手のレベルが上がってくれば、当然、ボンボンショコラやスナックの味も美味しくなっていきますので、フィニッションを丁寧に行い、さらに作品全体にストーリー性を持たせることが大切。そこまで考慮することができた選手は、良い点数を獲得することができています。
審査員長・ステファン・ルルー氏による大会講評
ファイナリストの皆さん、本当にお疲れ様でした。長時間に及ぶ競技は大変ですが、最後まで作業ができたのは素晴らしいことです。ジャパン・ベルコラーデ・アワードは、今大会で7回目の開催となります。過去の大会に出場した選手の中には、世界の舞台で活躍をしているパティシエも登場しています。その点を踏まえると、この大会は若いパティシエ達にとって非常に意味のある大会と言えるでしょう。
ジャパン・ベルコラーデ・アワード


ベルギーチョコレートの伝統を受け継いで世界のプロフェッショナルに向けて最高レベルのチョコレート提供している「ベルコラーデ」(取扱:ピュラトスジャパン株式会社、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:ジャン・ピエール ベルナルディノ)が主催するチョコレートの技術コンクール。2012年のスタート以来、日本のパティシエ、ショコラティエの技術向上に大きく貢献。現在では世界的なコンクールを目指す若手パティシエ、ショコラティエの登竜門として広く知られています。
 
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