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ベルコラーデクラブ・ワークショップ 「スナック」
厳選された原材料と伝統的な製法で世界のプロフェッショナルから支持を受けるベルギーのチョコレートブランド「ベルコラーデ」では、ベルコラーデ製品を使用しているユーザーを対象にした会員組織「ベルコラーデクラブ」を通じて、チョコレートに関する技術や知識の向上を目的としたワークショップを行っています。今回はその中から9月19日(水)に開催された「スナック」をテーマにしたワークショップを取材させて頂きました。

「スナック」というお菓子のカテゴリーは、一般的には大手製菓メーカーが手掛けるものが主流で、パティスリーではあまり展開されていないカテゴリーのひとつです。しかしながら、移動中や外出先でも手軽に食べられるスナックは消費者のニーズが高いアイテムであり、パティスリーならではの素材や技術を用いて大手製菓メーカーとの差別化を図ることができれば、今後の幅広い展開が期待されるカテゴリーと言えます。

今回のワークショップではそんな「スナック」にスポットを当て、ピュラトスジャパンのテクニカルセールススーパーバイザーを勤める平泉博仁氏が9作品のスナックを披露。どの作品もシンプルながらアイデア次第で簡単にバリエーションを付けられるレシピとなっており、パティスリーにおけるスナックの可能性が感じられるワークショップとなりました。
開 催 日 2018年9月19日(水)
会 場 ピュラトスジャパン株式会社 東京イノベーションセンター
講 師 平泉 博仁氏
(ピュラトスジャパン・テクニカルセールススーパーバイザー パティスリー/チョコレート担当)
レモン・ストロベリー・サブレ(夏用)(Lemon Strawberry Sable(summer))
ワークショップ最初の作品は「レモン・ストロベリー・サブレ(夏用)(Lemon Strawberry Sable(summer))」。長方形に焼き上げたアーモンド風味のサブレ生地でレモンとストロベリーのクリームをサンドしたスナックです。

レモンとストロベリーのクリームは、キャラット・カバーラックス・ホワイトNV(ピュラトス)をベースにして、パームオイル、オリーブオイル、レモンオイル、ストロベリーダイス(フリーズドライ)、カルダモンパウダーを混ぜ合わせて結晶化させたもの。カルダモンの香りがレモンとストロベリーの風味にマッチした爽やかな印象のクリームです。

作品名にも表記されている通り“夏用”のスナックとなる為、クリームの融点はやや高めに設定されていますが、配合中のパームオイルとオリーブオイルの比率を調整することで融点のコントロールが可能。提供する季節や使用するフルーツに合わせて、好みの口溶けに仕上げることができるレシピとなります。
サンドするクリームはキャラット・カバーラックスに各材料を混ぜ合わせたもの。
仕込んだクリームは型に流して冷やし固めます。
冷やし固めて結晶化させたクリームは長方形にカット。
同じく長方形に焼き上げたサブレ生地でクリームをサンド。
レモンとストロベリーの風味がマッチした爽やかなスナック。
キャラメル・サンド(Caramel Sand)
2作品目は「キャラメル・サンド(Caramel Sand)」。1作品目にも登場したアーモンド風味のサブレ生地を円形に焼成してから、濃厚なキャラメルクリームをサンドしています。

この作品のキャラメルクリームは、“砂糖を焦がすキャラメル”を使用しない特殊なレシピを用います。ベースとなるのは生クリーム、水あめ、ハチミツの3種類。こちらのベースに、キャラメル風味のもとになるキャラメルパウダーや、香ばしさを演出する黒糖などの材料を加えて、糖度74度まで煮詰めて完成。キャラメル特有のねっとりとした食感はコーンスターチを配合することで再現。計量と仕上がりの糖度さえ間違えなければ誰でも安定して仕込むことができるキャラメルクリームとなります。

仕込んだキャラメルクリームは流動性が高い為、モールドを使用してボンボンショコラの要領でコーティングを施し、トランペをしてからサブレ生地の間にサンド。サブレ生地のサクサク感、コーティングチョコレートのパリッとした食感、キャラメルクリームのねっとり濃厚な味わいが三位一体となったスナックです。
キャラメルクリームは“砂糖を焦がすキャラメル”を使用しない特殊なレシピ。
生クリーム、水あめ、ハチミツなどの材料を糖度74度まで煮詰めて作成。糖度計でしっかり計測。
仕込んだキャラメルクリームはモールドを使用してボンボンショコラの要領でコーティング。
コーティングしたキャラメルクリームはトランペをしてからサブレ生地でサンド。
サブレ生地のサクサク感とキャラメルクリームの濃厚な味わいが特徴的。
カフェ・ブラウニー(Café Brownies)
3作品目は「カフェ・ブラウニー(Cafe Brownies)」。前2作品ではサブレ生地を用いたスナックが続きましたが、こちらでは作品名の通りブラウニーがメイン。ブラウニーにコーヒークリームをサンドしてから一口サイズにカットしています。

メインとなるブラウニーは、チョコレートケーキ用ミックス粉のテグラル・ベルジャン・チョコレート・ケーキ(ピュラトス)をベースに、バター、糖類、全卵、ショコランテ・ガーデナー・ダーク62%(ピュラトス)などを混ぜ合わせて焼き上げたもの。レシピには焼き菓子用食感改良剤のアクティ・フレッシュEFS(ピュラトス)が配合されており、時間経過に伴う食感の劣化が抑制されています。

ブラウニーにサンドするコーヒークリームは、半完成フィリング素材のクリスト・オ・フィル・ブラン(ベルコラーデ)(外部リンク)に水で溶いたインスタントコーヒーを混ぜ合わせたクリームです。こちらで使用しているクリスト・オ・フィル・ブランは、ベルギー産のホワイトチョコレートをベースに乳脂肪と食用精製加工油脂のみを配合して作られたフィリング素材で、コーヒーやフルーツ加工品などの副材料を混ぜ合わせるだけで簡単にオリジナルのクリームを作ることが可能。油脂ベースのフィリングなので保存性が高く、生地に触れても湿気りにくいなど様々な特長を持った製品です。今回のワークショップでは以降の作品にも度々使用されており、その汎用性の高さが伺えます。
メインとなるブラウニーにはチョコレートケーキ用ミックス粉を使用。焼成後は半分にカット。
半完成フィリング素材のクリスト・オ・フィル・ブラン。様々な特長があり、汎用性の高い製品。
サンドするコーヒークリームはクリスト・オ・フィル・ブランにコーヒーを混ぜ合わせて作成。
ブラウニーの片面にコーヒークリームを伸してから残りのブラウニーでサンド。
お好みのサイズにカットしてカフェ・ブラウニーの完成。
サクサク(キャラットバージョン)(Saku-Saku(Carat))
4作品目は「サクサク(キャラットバージョン)(Saku-Saku(Carat))」。平らなシート状に焼成したビスキュイ・シュクセの上にキャラット・カバーラックス(ピュラトス)を伸し広げてからナッツやドライフルーツなどの素材をトッピングしたスナックで、トッピングする素材とチョコレートの種類を変えることで様々なバリエーション展開が期待できます。

土台となるビスキュイ・シュクセは、サクサクと軽い食感ながら脆く割れやすいという特徴があるビスキュイなので、あえて割れた状態で店頭に陳列して“量り売り商品”として販売するのが平泉氏の提案するスタイル。フランスなどではお菓子の量り売りはスタンダードですが、日本ではほとんど見かけることがありませんので、話題作りとしても量り売りというスタイルは非常に面白い提案と言えるでしょう。
土台となるビスキュイ・シュクセは平らなシート状に焼成。
ビスキュイ・シュクセの上にキャラット・カバーラックスを伸し広げます。
ナッツやドライフルーツなどお好みの素材をトッピングして完成。
こちらはキャラット・カバーラックス・ホワイトNVを使用したサクサク。
あえて割れた状態で陳列して“量り売り商品”として販売。
クランチ・バー(Crunch Bar)
5作品目は「クランチ・バー(Crunch Bar)」。スーパーなどの量販店で良く見かけるパフとチョコレートを組み合わせたスナックをアレンジした作品です。

本作品のベース部分は、パフとフィヤンティーヌにクリスト・オ・フィル・ブランとレ・アンターンス(ベルコラーデ)を混ぜ合わせて冷やし固めたもの。冷やし固めた後は1.5×4cm角の長方形にカットしてから、キャラメル風味の上掛け用チョコレートでコーティングを施し、最後に砕いたクランチを全体にまぶして完成です。

近年では米や麦以外にも様々な穀物のパフが市販されているので、ベース部分のパフの種類を変えるだけでも簡単にバリエーションを増やすことが可能です。
ベース部分はパフとフィヤンティーヌにチョコレートを混ぜ合わせて冷やし固めたもの。
このベース部分にチョコレートでコーティングを施してから砕いたクランチをまぶして完成。
“パフ+チョコレート”はスナックの王道と言える組み合わせ。
チョコレート・バー・ミルク・ティー(Chocolate Bar Milk Tea)
6作品目は「チョコレート・バー・ミルク・ティー(Chocolate Bar Milk Tea)」。アールグレイクリームとミルククリームを2層に重ねたものを、バー状にカットしてからエンロービングしたスナックです。

アールグレイクリームは、クリスト・オ・フィル・ブラン、ショコランテ・ガーデナー・ホワイト(ピュラトス)、ピュア・ココアバター(ベルコラーデ)(外部リンク)、アールグレイパウダー、クランブルを混ぜ合わせて仕込みます。配合中にクランブルが含まれているので、アールグレイの風味と共にスナックらしい軽い食感を演出するパーツとなります。

もう一つのパーツとなるミルククリームは、クリスト・オ・フィル・ブランとピュア・ココアバターをベースにして、コンデンスミルクとバニラペーストを加えたクリームです。先述したアールグレイクリームの上に重ねることで作品名にも記載のある“ミルクティー”の味わいに仕上げています。
アールグレイクリームとミルククリームを2層に重ねたベース部分。
ベース部分はエンローバーを使用してエンロービング。
アールグレイクリームとミルククリームでミルクティーの味わいに。
チョコレート・サンド(Chocolate Sand)
7作品目は「チョコレート・サンド(Chocolate Sand)」。前作品と同様にクランブルを使用したスナックで、表面にクランブルを貼り付けたプラリネ・チョコレートで柚子風味のクリームをサンドしています。

プラリネ・チョコレートは、テンパリングを取ったノワール・セレクシオン(ベルコラーデ)(外部リンク)ノワール・アンターンス(ベルコラーデ)アーモンド・プラリネ60(ピュラトス)(外部リンク)を加えたもの。使用する際はチョコレートモールドに流し、表面にクランブルを散らしてから結晶化させています。

プラリネ・チョコレートでサンドしている柚子風味のクリームは、今回のワークショップで再三に渡り登場しているクリスト・オ・フィル・ブランに柚子ピールコンフィを混ぜ合わせて作ります。クリスト・オ・フィル・ブランはニュートラルな味わいのフィリング素材の為、こちらのクリームのようにコンフィチュールと合わせるだけでも素材の味を活かしたフィリングを作ることが可能です。
プラリネとチョコレートを合わせたプラリネ・チョコレートはモールドで成形。
モールドに流した後は表面にクランブルを散らしてから結晶化。
結晶化したプラリネ・チョコレートで柚子風味のクリームをサンド。
クランブルの食感とチョコレートの味わいがベストマッチ。柚子の香りがアクセント。
フロランタン・ショコラ(Florentin Chocolat)
8作品目は「フロランタン・ショコラ(Florentin Chocolat)」。フロランタンの土台となるサブレ生地を“焼きチョコレート”で代用したユニークなアイデアのスナックです。

焼きチョコレートの生地は、レ・セレクシオン(ベルコラーデ)(外部リンク)をベースにして、バター、薄力粉、コーンスターチ、加工澱粉、グラニュー糖を混ぜ合わせたもの。全ての材料を混ぜ合わせた後は、ビーターを取り付けた卓上ミキサーで数分攪拌し、ツヤのある滑らかな状態になったら、シリコン型の中に絞り入れます。

シリコン型に絞り入れた生地の上面には、クルミとアーモンドスライスを適量散らし、その上からフロランタン用ミックス粉のフロレックス(ピュラトス)を全体的に振りかけて焼成。バター、生クリーム、糖類などを煮詰めて作る一般的なフロランタンのアパレイユに比べて非常に簡単ですが、香ばしいキャラメル風味の本格的なフロランタンに焼き上がります。
焼きチョコレートの生地は卓上ミキサーで仕込みます。
仕込んだ生地はシリコン型に絞り入れ、表面にナッツを散らします。
最後にフロランタン用ミックス粉を全体的に振りかけてから焼成。
焼成後のフロランタン・ショコラ。サブレ生地を“焼きチョコレート”で代用したフロランタン。
ツリー・パフェ(Tree Parfait)
ワークショップ最後の9作品目は「ツリー・パフェ(Tree Parfait)」。これまでの作品は指でつまんで食べられる小型のスナックが続きましたが、本作品はパフェに見立てたビスキュイにカスタードクリームと抹茶クリームを組み合わせたプティガトータイプのスナックです。

土台となるビスキュイはシンプルに別立て法で仕込み、円錐形のベーキングトレーで焼成。焼き上げたビスキュイの中には、非加熱カスタードミックス粉のクリミビット(ピュラトス)で作ったカスタードクリームを細口の口金で注入しています。

ビスキュイの上には、ブラン・セレクシオン(ベルコラーデ)(外部リンク)に生クリームと抹茶パウダーを混ぜ合わせた抹茶クリームを配置。大き目の星口金を使用してふんわりとボリュームを出すようにクリームを絞れば、“ツリー・パフェ”というネーミングがピッタリの可愛らしいスナックに仕上がります。
ビスキュイは円錐形のベーキングトレーで焼成。中にはカスタードクリームを注入しています。
ビスキュイの上には大き目の星口金を使用してツリー状に抹茶クリームを配置。
仕上げとしてシートチョコレートやアラザンなどをトッピング。
”ツリー・パフェ”というネーミングがピッタリの可愛らしいスナック。
ワークショップ総括
ワークショップの最後は受講者全員で試食タイム。ワークショップの会場となったピュラトスジャパン東京イノベーションセンターのカフェスペースには、この日にデモンストレーションされた作品はもちろん、時間の都合によりレシピのみの紹介となった作品も含めて多数のスナックが陳列。受講者は試食用のスナックをつまみながら、互いにスナックについてのディスカッションを行って、今回のワークショップは終了となりました。

ベルコラーデでは今回のスナック以外にも様々なテーマのワークショップを開催しています。チョコレートに関するテクニックや知識を学ぶことはもちろんですが、違うショップに勤めている受講者同士で意見交換をするなど、貴重な時間を過ごすことができますので、興味のある方はベルコラーデ公式ウェブサイトをご確認下さい。

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ベルコラーデ公式ウェブサイト
http://www.belcolade.jp/
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平泉 博仁氏
平泉 博仁氏
テオブロマで12年務める。その間、フランスに渡り、セバスチャン・ブイエ、フランソワ・ジメネーズ、パトリック・シュバロでパティシエ、ショコラティエとして経験を積む。帰国後、同社にてシェフに就任。2014年より日本菓子専門学校で3年間教師を務める。2014年ワールドチョコレートマスターズ国内予選大会第3位、その他国内外のコンクールで入賞。
ピュラトスについて
ピュラトスについて
世界100カ国以上の製菓・製パンのプロフェッショナルに向けて、様々な原材料やサービスを提供する国際的企業。開発から製造まで自社で行う。ベーカリー・パティスリー製品や、ベルギーチョコレートのブランド、ベルコラーデなどチョコレート製品を取り扱う。ベルギーの首都ブリュッセル近郊のグルート・ビジガーデンに本社を構える。
 
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