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バスチャン・ジラール氏による特別洋菓子講習会
2018年5月15日、世界のトップパティシエからも指示を受けるアンベール社のマロン製品とシコリ社の冷凍フルーツ製品を取り扱うアンベール・ジャパンが主催する「バスチャン・ジラール氏による特別洋菓子講習会」が開催されました。

この日の講師であるバスチャン氏は、アンヌ=ソフィー・ピック氏(ミシュラン3ツ星女性シェフ)のレストランや、フィリップ・リゴロ氏(MOF)のパティスリーといった世界的な名店での勤務経験と共に、製菓コンクールで数々の受賞歴を誇る新世代の実力派パティシエ。昨年の2017年にはクープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーで、フランス代表チームの一員として皿盛りデザートとチョコレート細工を担当し、見事に優勝。製菓界にその名を轟かせました。

そんな今を時めくパティシエの講習会ということで、会場には100名を超える大勢の製菓関係者が集まりました。デモンストレーションでは、アンベール社とシコリ社の製品を使用した全7種類の作品を披露。「どんな素材を食べているのか分かるお菓子作りを心掛けている」という自身のパティスリー哲学をベースに、素材の良さを活かしたシンプルで美味しい作品をご紹介頂きました。

開 催 日 2018年5月15日(火)
講 師 バスチャン・ジラール(Bastien Girard)氏
主 催 アンベール・ジャパン株式会社
協 賛 池伝株式会社、タカナシ販売株式会社
協 力 株式会社前田商店、株式会社サクライ、ファイユ・ジャパン株式会社
マロンとフランボワーズのシュー(CHOU MARRON FRAMBOISE)
1作品目は、日本では国民的な人気を誇るシュー生地を使用したプティガトー、「マロンとフランボワーズのシュー(CHOU MARRON FRAMBOISE)」。

ベースとなるシュー生地は、牛乳、小麦粉、卵などを使用した一般的な製法で仕込み、焼成の際は上面にクラックラン生地を乗せて、サクサクした軽い食感のシューに焼き上げています。焼成したシューは、ナイフで上部1/4程度をカット。上部のシューは、一回り小さなセルクルで縁部分の形状を整えてから、中央に1cm程度の小さな穴を開けて、仕上げに蓋として使用します。

下部のシューは、フランボワーズのマーマレードとダイス状にカットしたショートブレットを中に詰め込みます。フランボワーズのマーマレードは、味を調整してからペクチンでとろみを付けたシコリ社のフランボワーズピューレに冷凍フランボワーズホールを絡めたもので、フランボワーズの風味と酸味がストレートに感じられるパーツとなります。

2種類のパーツを詰め込んだシューの上には、アンベール社のマロンクリームマロンペーストを使用したマロンのシャンティクリームをたっぷり丸く絞ります。このマロンのシャンティクリームには、生クリームと合わせてマスカルポーネが配合されているので、マロンの風味と共に乳の風味とコクがしっかりと感じられる味わいが特徴。糖分はマロンクリームとマロンペーストの原材料に配合されている砂糖のみなので、甘さは控えめです。

マロンのシャンティクリームの周りには、フレッシュのフランボワーズをデコレーション。最後に仕上げとして、事前に形状を整えてから中央に穴を開けたシューで蓋をして、中央の穴にフランボワーズのコンフィを少量流して完成です。
シューはスタンダードな製法で仕込み、クラックランを乗せて焼成してから上部をカット。
フランボワーズピューレとホールを混ぜ合わせたフランボワーズのマーマレード。
シューの中にはフランボワーズのマーマレードとダイス状のショートブレットを詰め込みます。
更にその上にはマロンのシャンティクリームとフレッシュのフランボワーズを配置。
最後にシュー皮で蓋をしてから、中央の穴にフランボワーズのコンフィを少量流して完成。
アルデショワーズ(L’ARDECHOISE)
2作品目は、1作品目に引き続きシュー生地を使用したプティガトー、「アルデショワーズ(L´ARDECHOISE)」。この作品は、パリの自転車レースの開催を記念して作られたフランス菓子「パリ・ブレスト」をマロン風味にアレンジしたもので、バスチャン氏の出身地であり、栗の名産地として世界的に名高いアルディッシュ地方で、同名の自転車レースが存在する事からこのネーミングを付けました。

シュー生地は、1作品目のマロンとフランボワーズのシューと同じレシピで仕込み、リング状に絞ってからクラックラン生地を乗せて焼成。焼成後は、上部1/3程度をナイフでカットします。

カットしたシューの中には、マロンのクレーム・パティシエールとアンベール社のマロンインシロップ・ブリジュア(マロンのシロップ漬けのブロークン)を詰め込み、その上からアンベール社のマロンペーストとマロンクリームにコニャックと牛乳を混ぜ合わせてハンドブレンダーにかけたソース状のパーツを少量流します。

さらにシューの上には、中に詰めたマロンのクレーム・パティシエールと同じものにバターを混ぜ合わせたマロンのムースリーヌを滴状に絞り、ムースリーヌの隙間にマロンインシロップ・ブリジュアをトッピング。シンプルにマロンを全面に押し出しながらも、クレーム・パティシエールとムースリーヌを使い分けることで、変化のある味わいが楽しめる作品です。
アルデショワーズのシュー。1作品目と同じ生地をリング状に絞り、クラックランを乗せて焼成。
こちらはマロンのクレーム・パティシエール。アンベール社のマロンクリームとマロンペーストを配合。
先述したマロンのクレーム・パティシエールにバターを加えて、マロンのムースリーヌも仕込みます。
シューの中にはマロンのクレーム・パティシエールとマロンインシロップ・ブリジュアを詰め込みます。
その上にはマロンのムースリーヌを滴状に絞ります。
ムースリーヌの間にもマロンインシロップ・ブリジュアを飾り、シュー皮で蓋をして完成。
マロンのマドレーヌ(MADELEINE MARRON)
3作品目は、「マロンのマドレーヌ(MADELEINE MARRON)」。

マドレーヌ生地は、卵をベースにしたシンプルなレシピにアンベール社のマロンペーストを配合して作ります。バターにはブール・ノワゼット(焦がしバター)を使用して、マロンの風味に香ばしさをプラス。完成した生地は、一晩休ませてから金属製のマドレーヌ型を使用して焼成を行います。

焼き上げたマドレーヌには、アンベール社のマロンペースト、マロンクリーム、マロンピューレにラム酒を加えて滑らかに伸ばしたクリームを、先の細い口金を使用して生地の中に絞り入れます。マドレーヌの生地自体にもマロンペーストが配合されておりますが、中にクリームを絞り入れることでマロンの風味がより強化され、しっかりとしたマロンの味わいが楽しめるマドレーヌに仕上げています。
ミキサーを使ってマドレーヌ生地を仕込みます。バターにはブール・ノワゼット(焦がしバター)を使用。
仕込んだ生地は一晩休ませてから、金属製のマドレーヌ型に絞ります。
コンベクションオーブンで焼成。高温に設定して短時間で焼き上げます。
焼成直後のマドレーヌ。マロンの甘い香りが会場中に広がります。
生地の冷めたところでマロンのクリームを生地の中に絞り入れます。
マロン・ルバーブ(MARRON RHUBARBE)
4作品目は、マロンにルバーブを組み合わせたプティガトー、「マロン・ルバーブ(MARRON RHUBARBE)」。

本作品の土台となるのは、マロンのビスキュイとマロンのババロワーズを重ねたもの。マロンのビスキュイにはアンベール社のマロンピューレを、マロンのババロワーズにはアンベール社のマロンピューレとマロンクリームをそれぞれ配合してマロン風味に仕上げています。両パーツを重ねた後は、直径5cmのセルクルを使用してババロワーズの中央をくり抜き、円形の溝を作ります。

中央をくり抜いたババロワーズの上には、マロンのクレムーとバニラのシャンティクリームを交互に絞り、作品全体をナパージュでピストレ掛けしてコーティング。コーティング後は、一度冷凍庫に入れてナパージュがしっかりと固まった所で、中央の溝にルバーブのクーリを流します。このルバーブのクーリは、シコリ社の冷凍ルバーブモルソーに砂糖を絡めて抽出したエキスに、シコリ社の加糖ルバーブピューレ(今秋発売予定)を合わせたもの。使用しているのはルバーブと砂糖のみなので、ルバーブそのものの味わいと鮮やかなピンク色が特徴的なパーツです。

トッピングには、ヘーゼルナッツパウダーに黒糖やバターなどを混ぜ合わせて焼成したシュトロイゼルと、先述したルバーブのクーリで使用したルバーブモルソーを刻んで飾り付けて完成。食べる際にフォークを入れると中央のクーリがとろりと流れ出す仕上がりです。

ちなみに本作品は、ナパージュでピストレ掛けした状態で冷凍保存が出来るので、短時間の仕上げでケーキを提供することが可能です。日本でも労働環境について様々なニュースが取り上げられておりますが、これからのパティスリーでは、このような作業効率も考慮したレシピ作りが大切であると、バスチャン氏は語ります。
土台となるマロンのビスキュイとマロンのババロワーズ。事前にババロワーズの中央をくり抜きます。
ババロワーズの上にはマロンのクレムーとバニラのシャンティクリームを交互に絞ります。
この段階で全体をナパージュでピストレ掛けしてコーティングし、冷凍庫で冷やし固めます。
冷やし固まった所で中央の溝にルバーブのクーリを流します。
トッピングはシュトロイゼルとクーリで使用したルバーブモルソーを刻んだもの。
ケーキをカットすると中央のクーリがとろりと流れ出します。
スフェール・アブリコ(SPHERE ABRICOT)
5作品目は、鮮やかなオレンジ色の色彩とユニークなデザインが印象的なプティガトー、「スフェール・アブリコ(SPHERE ABRICOT)」。本作品ではマロンにアプリコットを組み合わせています。

メインとなる球体部分は、マロンのムースとアプリコットのマーマレードの2種類のパーツから構成されています。マロンのムースは、アンベール社のマロンペースト、マロンピューレ、生クリーム、ゼラチンのみを使用したシンプルなムース。アプリコットのマーマレードは、シコリ社の加糖アプリコットピューレ、無糖マンゴーピューレ、無糖パイナップルピューレをベースに、砂糖、ペクチン、シコリ社の冷凍アプリコット1/2カットをダイスにしたものを加えて煮込んだパーツです。これら2種類のパーツは、半球のシリコン型を使用して、外側にムース、センターにマーマレードとなるように配置して冷凍。冷やし固まった所で、半球を二つ貼り合わせて球体状に成形しています。

球体状に成形した後は、ホワイトチョコレートにカカオバターを混ぜ合わせたアパレイユと、同じくホワイトチョコレートに糖類や練乳などを加えてオレンジ色に着色したアパレイユで、2層のコーティング。仕上げとして、シュトロイゼルの上にバニラ風味のシャンティクリームを絞ったパーツを、球体の上部に配置しています。
メインとなる球体部分はマロンのムースとアプリコットのマーマレードの2種類のパーツから構成。
先述した2種類のパーツを半球型に冷凍し、熱した鉄板で平面を少し溶かします。
溶かした平面を素早く貼り合わせて球体に成形。ピエスモンテなどに用いる技法をケーキに応用。
球体に成形した後は、最初にホワイトチョコレートとカカオバターを混ぜ合わせたアパレイユでコーティング。
最初のアパレイユが固まった所で、オレンジに着色したアパレイユで2回目のコーティング。
仕上げとしてシュトロイゼルにシャンティクリームを絞ったパーツを球体の上部に配置。
タルト・ポムヴェルト・マロン(TARTE POMME VERTE MARRON)
6作品目は、マロンにポムヴェルト(青リンゴ)を組み合わせたタルト、「タルト・ポムヴェルト・マロン(TARTE POMME VERTE MARRON)」。

土台となるタルト部分は、パート・シュクレとマロン風味のクレーム・ダマンドで構成されています。どちらもスタンダードな製法で仕込み、タルトの2/3程度までクレーム・ダマンドを詰めた状態で焼成しておきます。

クレーム・ダマンドの上には、マロンのクリーム、アンベール社のマロンインシロップ・ブリジュア、クレムー・ヴァニーユの3種類のパーツを配置します。マロンのクリームは、アンベール社のマロンペーストとマロンクリームをコニャックでシンプルに伸ばしたパーツで、意図的に隙間が出来るように丸口金を使用して螺旋状に絞ります。クレムー・ヴァニーユは、アングレーズソースにクレーム・エペスとゼラチンを配合したパーツで、先述したマロンのクリームの隙間を埋めるようして、タルトのすり切りまで流し入れます。

3種類のパーツの上には、極薄に焼き上げたビスキュイ・ジョコンドを1枚重ねてから、ドーム状に成形した青リンゴのジュレを配置します。この青リンゴのジュレは、フレッシュの青リンゴ(グラニースミス)をミキサーにかけたジュースとシコリ社の冷凍りんごキューブを、レモン果汁とバニラで味を整えてからゼラチンで固めたもの。砂糖などは加えていないので、青リンゴのフレッシュな味わいがそのまま活かされています。

仕上げとして、シャンティクリーム、ヘーゼルナッツのクランブル、青リンゴスライスをそれぞれ飾り付けて完成。マロンの風味・青リンゴの瑞々しさ・バニラの香りと、それぞれの素材の持ち味を活かしたタルト作品です。
土台となるタルト部分はパート・シュクレとマロン風味のクレーム・ダマンドで構成。
クレーム・ダマンドの上にはマロンのクリームを隙間が出来るように絞ります。
その上にマロンインシロップ・ブリジュアを散らしてからクレムー・ヴァニーユを流します。
3種類のパーツの上には極薄に焼き上げたビスキュイ・ジョコンドを配置。
さらにビスキュイ・ジョコンドの上にはドーム状に成形した青リンゴのジュレを重ねます。
最後にシャンティクリーム、ヘーゼルナッツのクランブル、青リンゴスライスを飾り付けて完成。
タルトレット・マロン・カシス(TARTELETTE MARRON CASSIS)
7作品目は、「タルトレット・マロン・カシス(TARTELETTE MARRON CASSIS)」。本作品は、マロンと黒いフルーツをメイン素材にして、3種類のパーツで構成したシンプルなプティガトーです。

最初のパーツは、本作品の底生地となるシュトロイゼル。サクッと軽い食感になるように丁寧にサブラージュして生地を仕込み、直径8cmの円に成形してから焼成。焼成後には吸湿防止と味付けとしてブロンドチョコレートを上面に塗り付けます。

シュトロイゼルの上には、二つ目のパーツとなるクレムー・マロンを重ねます。クレムー・マロンは、アンベール社のマロンペースト、マロンピューレ、牛乳、卵、粉類などを加熱してからゼラチンを加えてドーナツ状に成形したもの。シュトロイゼルに重ねた後は、ブロンドチョコレートを使用した花型のデコール・ショコラを貼り付けます。

最後のパーツとなるのが、クレムー・マロンのくぼみに配置されているミルティーユ・カシスのクーリ。このクーリは、シコリ社の無糖カシスピューレ、加糖ミルティーユピューレ、無糖グロゼイユピューレをベースに、糖類やペクチンなどを加えて作ります。黒いフルーツと共にグロゼイユが配合されているのは、フレッシュ感を強化する為。特有の酸味が黒いフルーツの味わいをキリッと引き締めます。

本作品では中央のくぼみに黒いフルーツのクーリを配置しましたが、シンプルなお菓子なのでクーリの素材を変えるだけで味わいをガラリと変える事が可能です。ラズベリーなど他のフルーツを使用しても良いですし、全てマロンで統一しても美味しい仕上がりが期待できます。
底生地となるシュトロイゼル。焼成後に吸湿防止と味付けとしてオレリスを上面に塗り付けます。
クレムー・マロンはマロンペーストなどの材料を加熱してからゼラチンを加えてドーナツ状に成形。
クレムー・マロンの上には花型のデコール・ショコラを貼り付けます。
クレムー・マロンのくぼみにはミルティーユ・カシスのクーリを流します。
バスチャン・ジラール(Bastien Girard)氏
アンヌ=ソフィー・ピック氏(ミシュラン3ツ星女性シェフ)のレストランや、フィリップ・リゴロ氏(MOF)のパティスリーといった世界的な名店を経て、ローザンヌホテル学校(スイス)の講師、ポテル・エ・シャボ(パリ)のシェフ補佐などを勤める。その間、様々な製菓コンクールに参加し、数多くの受賞歴を誇る。2017年にはクープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーで、フランス代表チームの一員として皿盛りデザートとチョコレート細工を担当し、見事に優勝。新世代の実力派パティシエとして製菓界にその名を轟かせる。現在はパティスリーのコンサルタントとして、フランス国内・国外でデモンストレーションなどを行う。
アンベール社について
創設の1920年以来、フランス・リヨンの南ローヌ・アルプ地方にあるアルディッシュ県の栗の名産地「オブナ」に本社工場を構える歴史あるマロン製品メーカー。栗に含まれている苦味成分タンニンを極力取り除き、風味を引き出す為にバニラビーンズの使用を抑えて作られたアンベール社の製品は、世界各国のトップパティシエから指示を受けています。

⇒アンベール社取扱い商品一覧
シコリ社について
1962年フランスの南西部リヨン地域の果樹農家による協同組合を母体に活動を開始して以来、50年以上の歴史があるフランス大手フルーツ生産者。現在は150件の農家が加入し、計約570ヘクタールにおよぶ果樹園で年間約13000トンものフルーツを生産。最適なテロワールで栽培されたフルーツを原料に高品質なフルーツ加工品を世界中に提供しています。

⇒シコリ社取扱い商品一覧
アンベール・ジャパン株式会社について
アンベール・ジャパンは製菓業界専門の食品の輸入及び販売をする会社です。フランスのマロン・アンベール社(栗加工食品)及び、シコリ社(冷凍フルーツ食品)商品の総代理店です。最高品質の製菓材料のみを厳選し、皆様にご提供してまいります。

アンベール・ジャパン ホームページ
http://imbert.co.jp/

アンベール・ジャパン facebook
https://www.facebook.com/imbertjapan/
 
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