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ジャパン・ベルコラーデ・アワード2017
2017年6月22日、世界中のプロフェッショナルから支持を受けるベルギーチョコレートブランドのベルコラーデ(ピュラトスジャパン株式会社)が主催する「ジャパン・ベルコラーデ・アワード2017」の決勝大会(最終審査)が開催されました。

2012年のスタートから2017年で第6回大会を迎えたジャパン・ベルコラーデ・アワードは、国内で活躍するパティシエ、ショコラティエに技術向上の機会を提供することを目的とした製菓コンクール。これから世界的なコンクールを目指す若い職人を中心に、数々の作品がエントリーされました。

ジャパン・ベルコラーデ・アワード2017の競技テーマは「NEXT GENERATION(ネクスト・ジェネレーション)」。このテーマを基に第1次審査として、ボンボンショコラ、スナック(チョコレートを使用した菓子)各1種類と、チョコレート・ピエスモンテ1台(写真のみ)を提出。見事、審査を通過した8名のファイナリストは、最終審査として第1次審査で提出した作品を制限時間内(4時間)に制作。最終審査は、審査員長のステファン・ルルー氏(ピュラトス本社、MOF)を始め、最終審査責任者の垣本晃宏氏(ASSEMBLAGES KAKIMOTO オーナーシェフ)、川村英樹氏(アテスウェイ オーナーシェフ)、藤田浩司氏(クールジャパン株式会社 取締役)、赤羽目健悟氏(株式会社帝国ホテル)、ヨリス・バンヘー氏(ピュラトスジャパン株式会社 テクニカルセールスディレクター)の6名が務めました。

大会前日の事前準備では、6月としては非常に珍しい記録的な大雨と強風に見舞われましたが、ファイナリスト全員無事に準備を終えて、決勝大会当日を迎えました。大雨の翌日ということで湿度が高く、チョコレートの作業をするにはやや難しい条件でしたが、ファイナリストたちは、大会に向けて積み重ねた練習と、日々の仕事の中で培った技術を頼りに、着実に作業を進行。そして時間終了の掛け声と共に4時間に及ぶ競技は終了。競技終了後は、各選手が1分間のプレゼンテーションで、審査員に向けて最後の想いを伝えました。

ジャパン・ベルコラーデ・アワード2017 各賞受賞者発表
ジャパン・ベルコラーデ・アワード2017の審査結果発表と表彰式は、競技が行われた同日に浦和ロイヤルパインズホテルにて行われました。会場にはファイナリスト8名と審査員を始め、大勢の大会関係者たちが集まりました。ジャパン・ベルコラーデ・アワード2017の審査結果は以下の通りになりました。

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【 優 勝 】
塚田 悠也 (東海調理製菓専門学校)

【 準 優 勝 】
奥野 光 (Cacaotier Gokan)

【 銅 賞 】
川野 圭一 (名古屋東急ホテル)

【 部 門 賞 】
■ ベスト・ボンボンショコラ賞 : 奥野 光 (Cacaotier Gokan)
■ ベスト・スナック賞 : 塚田 悠也 (東海調理製菓専門学校)
■ ベスト・チョコレート・ピエスモンテ賞 : 塚田 悠也 (東海調理製菓専門学校)
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金賞 塚田 悠也(東海調理製菓専門学校)
チョコレート・ピエスモンテ「Lien(繋ぐ)」
テーマを見て感じたイメージが”新しい時代”への架け橋。つまり赤ちゃんでした。そして、その赤ちゃんを運んでくる「コウノトリ」を作ろうと考えました。会場で作る利点を活かしたバランスにし、型を利用することでストーリーとインパクトのある作品に仕上げました。

ボンボンショコラ「Lumiere(光)」
ボンボンショコラは、ミュールティーをイメージして作りました。ノワール・コレクシオン・ペルーのフルーティーな味わいでミュールに奥行きを持たせ、ノワール・スーペリヤーのカカオ感を引き立てる茶葉(アッサム)を選択しました。パート・ド・フリュイは硬すぎず、柔らかすぎず、2種類のガナッシュと調和するように何度も試作を重ねました。

スナック「Nassance(誕生)」
スナック=食感というインスピレーションが沸きました。味はシンプルにオレンジとプラリネの2種類にして、食感を加えて、テクスチャーを重視しました。オレンジは日持ちも考え、コンフィチュールにしてフレッシュ感や香りをプラスし、今までにないお菓子にしました。形状を卵型にして、ピエスモンテに組み込んだ際に統一感が出るようにしました。
※作品の解説は選手の応募書類より抜粋
銀賞 奥野 光(Cacaotier Gokan)
チョコレート・ピエスモンテ「〜Trafic〜」
未来の交通手段をイメージして作成しました。様々な技法を使用し、見応えがある作品に仕上がるよう意識しました。多くの色を使用せず、ボンボンショコラ、スナックが一番目立つようにしています。

ボンボンショコラ「〜Triangle〜」
ブラン・コレクシオン・ドミニカンリパブリックの余韻とピスタチオが合うと思い、そこからレシピを組み立てました。グリオット、シナモンの順に味・香りが移行していき、最後にピスタチオとドミニカンリパブリックのまろやかな余韻で終われるようにしました。組み立ても、ただ上に重ねるのではなく、生菓子を仕込むような感覚でセンターを中に入れていく方法を考えました。ジャンドゥーヤ・ピスターシュにより、ゼリー(パート・ド・フリュイ)からの水分移行が防げ、日数が経ってもきれいな断面を維持できるようにしました。

スナック「〜Chocolat balle〜」
スナック=万人受けするお菓子というイメージがあるので、誰が食べても美味しいと思える物にしました。レ・キャラメルの優しいキャラメルの味が好きで、それを中心に上段にパッション・マンゴー・ガナッシュ、下段にアプリコット・コンフィ、そしてその間に少々ビターなムワルー・ショコラを忍ばせて、アクセントにヘーゼル・クリスタリゼも入れ、いくつでも食べられる味に仕上げました。球体にすることで、バータイプよりも仕込める層の多さも楽しめます。
※作品の解説は選手の応募書類より抜粋
銅賞 川野 圭一(名古屋東急ホテル)
チョコレート・ピエスモンテ「Printemps 〜春〜」
テーマである「ネクスト・ジェネレーション」をイメージして赤ちゃんを作りました。下のクーレは妊婦をイメージしています。新しいことが始まりそうな「春」を感じさせる花、蝶、つくしを飾り付け、丸いボンボンショコラの台座にはミルクチョコレートをかけ流すことで時間の流れを表現しました。

ボンボンショコラ「ambitieux 〜大望〜」
ローストカカオの印象的でしっかりとしたテイストのレ・コレクシオン・ベネズエラとアールグレーを合わせました。ガナッシュには、爽やかな香りとしっかりした香りの2種類のアールグレーを使用し、すっきりとした印象のアニスリキュールを合わせ、そこに杏子のパート・ド・フリュイで程よい酸味を加えて、マリアージュしました。また、アールグレーのサブレでテクスチャーだけでなく、より深みのある味わいを感じることができるようにしました。

スナック「Souffle 〜息吹〜」
口溶けの良いノワール・アンターンスとアーモンドのプラリネ、ヘーゼルナッツのプラリネ、米ハゼを合わせ、軽い食感とナッツの力強さを出しました。そこに、米粉を使ってしっとり仕上げたガトー・クラシック、滑らかなキャラメル・ムーを合わせ、一口で様々な食感を楽しめるスナックにしました。
※作品の解説は選手の応募書類より抜粋
優勝・塚田 悠也選手(東海調理製菓専門学校)のコメント
優勝するのは難しいと感じていただけに、正直びっくりしました。

ピエスモンテは、終了10分前には組み立てまで練習通りに作業を終えることができたので、時間配分は100点、作品全体の出来栄えは80点です。練習の段階では中々上手にピエスモンテを組み立てられなかったので、アワードの予選から合わせて10数回以上、たくさん練習を重ねました。中でもコウノトリの羽の部分は、パーツを薄くしているので壊れやすく、バランス良く取り付けるのに苦労しました。

スナック、ボンボンショコラ共に、シンプルに自分が「美味しい」と思えるものを作りました。パーツの厚みをミリ単位で調整するなど、長い時間を費やして何度も何度も試作を行いました。

今まではアメ細工を中心にコンテストに取り組んでいましたが、昨年に行われた”トップ・オブ・パティシエ2016”への出場を期に、チョコレート・ピエスモンテを本格的に始めました。チョコレートは正確な技術が必要なだけに難しさを感じますが、これからもコンテストに挑戦して行こうと思います。

現在は静岡県の専門学校に勤務しており、学校の生徒たちが大会に向けて本当に良く応援してくれたので、この優勝の喜びを生徒たちと分かち合いたいと思います。元々、自分はそれほど器用なタイプのパティシエではありませんでした。しかし、努力した分だけ技術は向上すると信じて「不可能は無い」という気持ちを持ってここまでやって来ました。生徒たちには常に「あきらめずに」という言葉を掛けていますが、今回の優勝した経験をふまえて、より強いメッセージとして生徒たちに伝えて行こうと思います。
最終審査責任者・垣本 晃宏氏による大会講評
チョコレート・ピエスモンテについて
今回は「NEXT GENERATION(ネクスト・ジェネレーション)」という表現の難しいテーマでした。それだけに時間経過に伴って、慌てた作業になってしまい、減点の対象となってしまっている場面が見られました。1位、2位の作品は、どちらが優勝してもおかしくないくらい接戦でした。これで「完璧」ということではなく、これからも更に上を目指して頑張って頂きたい。

ボンボンショコラについて
味覚という点では、良かったと思います。しかしコンテストで勝つにはより一層の工夫が必要で、普通に作っているだけでは点数は伸びていきません。新しい工夫が見られた作品に関しては、高い点数を得られています。

スナックについて
若干、食べにくい作品が多い印象を受けましたので、もう少し食べやすさと味のバランスを考えて作品を考案すると良くなると思います。また、食べた際に口の中に残る作品もありましたので、食感にこだわり過ぎず、サクッと食べられるように工夫をすると良いと思います。

作業について・その他
評価基準の一つである作業点(実技)はきれいな作業が点数につながります。最後まできれいな作業が出来るように、練習の積み重ねと時間配分をしっかり心掛けることが重要です。また、ボンボンショコラのセンターの提出忘れなどは減点にもつながります。規定を理解した上で事前準備をしっかり行い、点数につなげてほしいと思います。
審査員長・ステファン・ルルー氏による大会講評
「4時間」という競技時間は、長い様で短いものです。時間配分はコンテストに参加する上で重要なポイントとなりますので、限られた時間の中で自分のやりたい作業が出来るように経験を積むことが大切。時間内に作業が終わらなかった選手は、厳しい言葉かもしれませんが、経験不足だったのかもしれません。一方で、デギスタシオン(味覚)に関しては、美味しく満足できるものが多く見られました。

今回参加した選手こそが、大会テーマである「NEXT GENERATION(ネクスト・ジェネレーション)」です。皆さんにはポテンシャルを感じることが出来ましたので、これからも頑張って頂きたい。若いパティシエにスポット当てたコンクールは、これからの製菓界にとって大事なことだと感じています。
ジャパン・ベルコラーデ・アワード


ベルギーチョコレートの伝統を受け継いで世界のプロフェッショナルに向けて最高レベルのチョコレート提供している「ベルコラーデ」(取扱:ピュラトスジャパン株式会社、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:ジャン・ピエール ベルナルディノ)が主催する製菓コンクール。2012年のスタート以来、日本のパティシエ、ショコラティエの技術向上に大きく貢献。現在では世界的なコンクールを目指す若手パティシエ、ショコラティエの登竜門として広く知られています。
 
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