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ジャパン・ベルコラーデ・アワード2016
2016年6月23日、世界中のプロフェッショナルから支持を受けるベルギーチョコレートブランドのベルコラーデ(ピュラトスジャパン株式会社)が主催する「ジャパン・ベルコラーデ・アワード2016」の決勝大会(最終審査)が開催されました。

2012年に第一回大会がスタートしたジャパン・ベルコラーデ・アワードも今年で「5年」という一つの節目を迎えます。昨年までの大会では、ボンボンショコラ2種類(モールドタイプ、エンロービングタイプ)とチョコレート・ピエスモンテ1種類で競技を行ってきましたが、今大会からボンボンショコラはモールドタイプの1種類となり、代わりに「スナック(チョコレートを使用した菓子)」1種類を新競技として追加、これら2種類にチョコレート・ピエスモンテを合わせた内容に変更となりました。さらにピエスモンテは、全体で使用するチョコレート量に対して30%までモールドを使用することが可能となり、節目の大会に相応しく、いくつかの新しい取り組みが行われています。

最終審査を行うのは、「ピュラトス本社、MOF」ステファン・ルルー氏を審査員長として、「アステリスク」和泉光一氏(最終審査責任者)、「アッサンブラージュ・カキモト」垣本晃宏氏、「グローバルコンサルタント」藤田浩司氏、「帝国ホテル」赤羽目健悟氏、「ピュラトスジャパン株式会社チーフデモンストレーター」ヨリス・バンヘー氏の6名。さらに大会規定や競技ルールなどの作成には、審査員の6名と共に「パティスリーアプラノス」朝田晋平氏も迎えています。

今大会のテーマは「DESIGN(デザイン)」。こちらのテーマを元に、第一次審査として行われたボンボンショコラ・スナックの味覚審査とピエスモンテの書類審査を勝ち抜いた8名のファイナリストが、最終審査として第1次審査と同じ作品を4時間という制限時間の中で制作していきます。

決勝大会の会場は埼玉ベルエポック製菓調理専門学校の一室。会場前にはファイナリストの戦いを一目見ようと大勢のファイナリスト関係者が集まる中、各選手たちは競技を行います。普段とは異なるスペースで作業するというのは難しいものですが、スピーディー且つ正確に作品を仕上げていく各選手の姿に、この日に向けて練習を重ねてきた努力が感じられました。そして大きなトラブルもなく無事に4時間の競技は終了。各選手さまざまな想いを胸に、同日の夜に行われる審査結果発表と表彰式を迎えます。

ジャパン・ベルコラーデ・アワード2016 各賞受賞者発表
ジャパン・ベルコラーデ・アワード2016の審査結果発表と表彰式は、競技が行われた同日に浦和ロイヤルパインズホテルにて行われました。会場には4時間に及ぶ熱戦を終えたファイナリスト8名や審査員を始め、大勢のファイナリスト関係者、大会関係者たちが集まりました。

ピュラトスジャパン株式会社代表取締役社長ジャン・ピエール・ベルナルディノ氏の挨拶から式はスタート。審査員紹介、ファイナリスト紹介と続いた後には、いよいよ審査結果の発表となります。ジャパン・ベルコラーデ・アワード2016の審査結果は以下の通りになりました。

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【優 勝】
片岡 孝二 (株式会社クラブハリエ)

【準 優 勝】
降矢 淳 (à tes souhaits!)

【銅 賞】
尾川 義之 (パークハイアット東京)

【部 門 賞】
■ ベスト・ボンボンショコラ賞 : 降矢 淳 (à tes souhaits!)
■ ベスト・スナック賞 : 片岡 孝二 (株式会社クラブハリエ)
■ ベスト・チョコレート・ショーピース賞 : 片岡 孝二 (株式会社クラブハリエ)
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金賞 片岡 孝二(株式会社クラブハリエ)
チョコレート・ピエスモンテ「アンティーク・デザイン」
3本の猫脚で全てを支えています。また欠かすことのできないランプシェードもアンティークなデザインの中で取り入れています。出来るだけ型を使用せず、造形的なデザイン性のある物に仕上げました。(応募書類より抜粋)

ボンボンショコラ「フォレノワール・ア・ラ・ピスタ―シュ」
ガトーで代表的なフォレノワールを、ピスタチオを使いボンボンにアレンジしました。酸味のあるグリオットのジャム、まろやかなピスタチオのプラリネ、少しタイムを利かせて味に深みを持たせたガナッシュが一体となり、チョコレートの風味を際立たせます。(応募書類より抜粋)

スナック「シュセット・カフェノワゼット・オランジュ」
焼成パーツをシュケットにし、日持ちを長くする為に良く乾燥焼きにして、バリバリ・ボロボロと砕けるようなシュー生地にしました。その中に、ノワゼットのプラリネ、相性の良いオレンジをキャラメル状にして絞り込んでいます。香ばしさをプラスする為に、隠し味程度のコーヒーを。ザクザクの食感からトロリとしたキャラメルガナッシュまで、味・食感・舌触りなど色々と感じられる作品です。(応募書類より抜粋)
銀賞 降矢 淳(à tes souhaits!)
チョコレート・ピエスモンテ「dessner 〜描く〜」
デザインの元にある「描くこと」を表現しようと思い、このピエスモンテを作成しました。土台はシンプルな形をいかにリアルな物へデザインするかを考え、筆などを入れる道具箱にしました。筆や刷毛で塗ったり、線を引いたりする工程を表して、ピエスモンテに動きが出るようにしました。(応募書類より抜粋)

ボンボンショコラ「Motif 〜柄〜」
レ・コレクシオン・ベネズエラの特徴であるキャラメルの風味を引き立たせようと思い、オレンジとの組み合わせが思い浮かびました。よりキャラメルの風味と苦味を強く感じさせる為に、ガナッシュは直接キャラメルを加える製法にしました。アクセントにパッションフルーツのジュレとカルダモンの香りをプラスして酸味なども加えて、プラリネには食感を強く出す為にアメ状のキャラメルを加えました。ショコラの表面の模様は、絵筆で線を描いたような柄をイメージして、チョコレート・ピエスモンテとの一体化を図りました。(応募書類より抜粋)

スナック「Cadre 〜額縁〜」
スナックという課題でしたので、食感にこだわったレシピを考えました。まず使用したサブレには、カカオニブを加えて、より食感が出るように工夫しました。センターには、ガナッシュを使用してしまうと、サブレの食感が湿気で失われてしまうと思ったので、ジャンドゥージャを使った構成にしました。このジャンドゥージャには、オリーブオイルシトロンを加えて、固くなりすぎないようにすると共にシトロンの香りが出るようにしました。さらに中心にパート・ド・フリュイを配置することで、サブレのサクサク感とは異なる食感も楽しめるようにしました。形は額縁をイメージして作りました。(応募書類より抜粋)
銅賞 尾川 義之(パークハイアット東京)
チョコレート・ピエスモンテ「Maestro」
テーマである「デザイン」という言葉を芸術的なものを設計することと捉え、音楽を作曲(設計)する作曲家や指揮者の意味を持つ「マエストロ」という作品名にしました。この言葉に自然界で様々な色に体色変化するカメレオンを当てはめて、ピアノの鍵盤、バイオリンの糸巻き、ティンパニー、シンバル、指揮棒と共にテーマを表現しました。(応募書類より抜粋)

ボンボンショコラ「Symphonie」
自分の大好きなレ・コレクシオン・ベネズエラのナッツ、バニラ、キャラメルの風味を活かしたボンボンショコラを作りたいと思い、王道の組み合わせで相性の良いオレンジ、キャラメル、ノワゼット、ミルクチョコレートの素材を選びました。オレンジピールとバニラをアンフィゼして作った「キャラメル・オランジュ」と、ノワール・コレクシオン・エクアドルとレ・コレクシオン・ベネズエラを使ってカカオのボディ感をしっかりと持たせた「ガナッシュ・オランジュ」に、自家製のプラリネノワゼットを使った「プラリネ・ショコラ」を合わせました。シェルにレ・コレクシオン・ベネズエラを使うことで、まろやかさと程よい苦味で2種類のチョコレートを感じることができ、素直に美味しいと感じていただけるものになりました。(応募書類より抜粋)

スナック「Quartette」
スナックというテーマから懐かしさが感じられる味の作品を考えました。作品の構成は、ノワール・コレクシオン・ペルーとレ・コレクシオン・ベネズエラにライムを加えた「ガナッシュ・シトロンベール」、苺とフレーズ・デ・ボワの「コンフィチュール・フレーズ」、ココナッツを使った「サブレフォンダン・ココ」の3つのパーツを組み合わせています。甘酸っぱく優しい風味で懐かしさを連想させ、ライムのキレ、ショコラのまろやかさ、程よい苦味のバランスでチョコレートのお菓子としてまとめました。(応募書類より抜粋)
優勝・片岡 孝二選手(クラブハリエ)のコメント
昨年行われた前回大会では、時間内に作品を仕上げることが出来ず銅賞に終わってしまいましたが、今年は昨年の失敗を活かして、「どうしても勝ちたい!」という想いで大会に向けた準備を進めてきました。今回の優勝は、勤務しているクラブハリエの協力があってこそだと思いますし、毎晩夜遅くまで大会への準備を手伝ってくれた仲間達にも感謝をしています。

新競技となったスナックは、先輩シェフ達にアドバイスをもらいながら、1ヶ月くらいの期間をかけてシューの乾燥焼きというアイデアに辿りつき、その後2ヶ月は、どうしたらさらに美味しくなるか考えながら試作を重ねました。完成まで約3ヶ月もの期間をかけて作り込んだ作品なので、ベストスナック賞を受賞した時は思わず「良し!」と言葉が出ました。

現在、勤務先のチョコレート工房で毎日チョコレートに触れながら仕事をしているので、今回の優勝を機に、今以上に美味しいお菓子を作れるように頑張りたいと思います。
最終審査責任者・和泉光一シェフ(アステリスク)による大会講評
チョコレート・ピエスモンテについて
今大会から全体で使用するチョコレート量に対して30%までモールドの使用が可能になったこともあり、各選手の作品に立体感が生まれました。使用するパーツの数も増え、全体的にピエスモンテによる表現方法は上手になっていると思います。そうなると、各パーツの接着の仕方や色付けといった細かな作業だったり、作品の組み立てに至る手順などが、採点に差が付く重要なポイントとなりますので、そういった点まで気を配って作業に取り組んで頂きたいと思います。

ボンボンショコラについて
昨年まで行われていたエンロービングタイプの競技が無くなった分、モールドタイプのボンボンショコラは、もう少し工夫があっても良かったと思います。ファイナリストの皆さんは、もう十分ボンボンショコラの作り方が上手なので、色付けをした型で固めて抜くだけではなく、それ以上のアイデアを見せてもらいたかった。また、中に入れるガナッシュの硬さやモールディングのチョコレートの厚さも重要な採点ポイントとなりますので、それらの状態が上手に作られている作品は高い得点を取っています。

スナックについて
「スナック(チョコレートを使用した菓子)」という非常に広いカテゴリーを意味する競技でしたが、各選手が工夫を凝らして思い思いの解釈により、このスナックというカテゴリーを表現していました。ただし、新しさや工夫という点を考えると、少し保守的な印象を受けました。チョコレートのコンクールとしては非常に珍しいカテゴリーなので、もっと自由な表現をしたアグレッシブな作品を考えても良かったと思います。

作業面・衛生面について
会を重ねるごとに大会に向けた対策がしっかり練られており、全体的にチョコレートの扱い方も綺麗に作業が出来ていました。ただし、競技の時間経過に伴い、各選手のチョコレートに対する経験や練習量の差が少し感じられました。衛生面についてですが、お菓子を作るという仕事は人に物を食べさせる仕事なので、コンクールとはいえ衛生面に対してもう一度しっかり考えてから作業に取り組んでもらいたいと思います。

大会総評
今大会は前回までの大会とは異なり、ピエスモンテでは全体で使用するチョコレート量に対して30%までモールドの使用が可能になったり、エンロービングタイプのボンボンショコラの代わりにスナックという新しく競技に加わったりと、いくつかの大きな変更点がありました。そんな中、新しいレギュレーションの解釈の違いによる減点が発生することもなく、各選手たちはしっかりとルールを理解していました。今回は全体的に非常にグレードアップした大会になったと思います。
ジャパン・ベルコラーデ・アワード


ベルギーチョコレートの伝統を受け継いで世界のプロフェッショナルに向けて最高レベルのチョコレート提供している「ベルコラーデ」(取扱:ピュラトスジャパン株式会社、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:ジャン・ピエール・ベルナルディノ)が主催する製菓コンクール。2012年のスタート以来、日本のパティシエ、ショコラティエの技術向上に大きく貢献。現在では世界的なコンクールを目指す若手パティシエ、ショコラティエの登竜門として広く知られています。
 
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