ステファン・ルルー氏と言えばピエスモンテは外せません。今回通訳をして下さった『エーグルドゥース』の寺井シェフも、フランス人の知人の中でピエスモンテの腕はステファン氏が一番抜きん出ている、とお話をされていました。今回はそんなステファン氏の技法を惜しみなく披露して頂きました。
まずはホワイトチョコレートを使用しての基本のテンパリングから。殆どの方がテンパリングは幾度となく行っている、当たり前の作業かと思いますが、ピエスモンテではそんな基本の作業もきっちりこなさないと完璧な作品を生み出せません。チョコレートを溶かす温度等、基本に戻って見つめ直す重要性を説明して下さいました。そして今回のメインでもある花をモンタージュして行きます。花びらを接着していく作業工程では、コールドスプレーを使用し続けていると結露が発生してしまい、仕上がりに影響を与えてしまいます。1枚接着したら必ず時間を空け、接着部分の温度が戻ってから次の取り付けを行う様、説明して下さいました。そして全体部分の大きなパーツは接着部分をしっかり温めモンタージュして行きます。
更にステファン氏はピエスを考える際、必ずデッサンからスタートするとの事。ステファン氏と言うと植物のピエスが真っ先に浮かびますが、フラワーアレンジメントや日本の生け花の本等を参考にもされているそうです。この様に文化を超えて知識を探求して行く姿に、世界のレベルの高さを伺えます。そしてデザインが決まった後はどのパーツをどの順でやっていくか、細かくイメージして行きます。こういった大型作品は緻密な計画が大変重要になってきますので、ここでしっかりとした骨格を構築しておかないと、後々何らかの形で影響が出てきてしまいます。この様にこれらの段階をしっかりと踏まえて初めて、世界で一つしかない美しいピエスモンテが誕生するのです。