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秋のスペシャリテ対決 〜木村成克シェフVS齋藤由季シェフ〜
まだまだ暑い日が続いていますが、パティスリーでは秋向け商品の試作の追い込みといった所でしょうか。
今回はそんなタイミングにピッタリな『秋のスペシャリテ対決』と題して、ドーバー洋酒貿易の会場にて講習会が行われました。 講師は『LA VIEILLE FRANCE』木村成克シェフと、『Patisserie Les Cinq Epices』の元シェフパティシエールで、現在は独立に向け準備中の齋藤由季シェフのお二方の対決となりました。

木村シェフは時にはジョークで受講者をなごませたりと、とてもメリハリの利いたトークで、かつ的確なアドバイスで指導されていたのが印象的でした。 更に今年仙川に新たにアイスクリーム専門店をオープンされたとの事。ご自身が製菓業界に足を踏み入れた際、一番初めに任されたのがアイスクリームだったそう。とても思い入れのあるアイテムとおっしゃっていたので、今後のラインナップも目が離せません。
齋藤シェフは今回こういった会場で講習会をされるのが初めてとの事。 ご本人曰く、とても緊張されていたとの事ですが、女性らしい丁寧で分かりやすい説明で進めていって下さいました。現在は独立に向けて準備中との事で、オープンが楽しみですね! 今後のご活躍もますます気になる所です。
開催日 2012年7月26日(木)
講 師 木村成克シェフ(LA VIEILLE FRANCE)
齋藤由季シェフ(元Patisserie Les Cinq Epices)
主 催 コマジャパン株式会社
パティス・ガストロノミー協会
会 場 ドーバー洋酒貿易株式会社 講習会場
ZEPHYR 〜ゼフィール〜 (木村成克シェフ)
ZEPHYR ゼフィール
幾層にも重なったパーツの断面が美しいゼフィール。ジョコンド生地・ムースショコラにフィアンティーヌのさくさくした食感がアクセントのアントルメです。ムースはノワールとオ・レの2種類というこだわりぶり。凍ったままセミフレッド(アイスケーキ)として・解凍してムースとして、と2パターン楽しめます。
ZEPHYR ゼフィール
まずは生地の仕込みから。ビスキュイジョコンドのメレンゲを立てる際、通常だと冷やして立てた方が泡のあがりが良くなりますが、シェフはあえて常温に戻してから立てるとの事。それは@メレンゲだけ温度が低いと合わせた際、生地が締まってしまうA生地の温度が下がる為、焼成に余計な時間が掛かかってしまうから、とおっしゃっていました。そして生地の伸しは触る回数を極力少なくして素早くならしていきます。
ZEPHYR ゼフィール
今回仕込むムースはノワールとオ・レ。先に2種類分のパータボンブを仕込んでおきます。それから各ムースを仕込んでいき、時間・手間を省きながら手早く作業するのがポイントとおっしゃっていました。またムースに使用するゼラチンは粉ゼラチンを使用しているそう。板ゼラチンは水に戻してから絞る際、人によって絞り方で水分量も変わってきてしまうので、加水量がはっきりしている粉ゼラチンを愛用しているとの事でした。
ZEPHYR ゼフィール
モンタージュはまずチョコレート・プラリネ・フィアンティーヌを合わせたものを敷き詰めて行きます。その上にムース(ノワール)を少量流し込みます。ちなみに普段お店ではプラリネは必要な分だけ毎回仕込んでいるとの事。常に新鮮な状態で提供したいという想いと、全て自分達で仕込んだものがお菓子になる事への喜びが大きいから、との事です。他にもナパージュやマジパンも自店で仕込んでいるそう!
ZEPHYR ゼフィール
ジョコンドをしいてアンビベしていきます。シロップはボーメ25°と溶かしたチョコレートを合わせたものにモンレニオンバニラを加えたもの。シェフ曰く、バニラは無くてはならない香りで、使用するなら品質の良い物を!手に入らなければ入れるな!と力説していらっしゃいました。それだけこだわりたいポイント、という事ですね
ZEPHYR ゼフィール
その上にムース(ノワール)、ナッツ、ムース(オ・レ)・ジョコンド・ムース(オ・レ)と順序良く重ねて行き、最後にピストレをしてチョコを飾り完成です。
(画像はセミフレッド状態のものです)
PAIN DE GENES AUX MARRONS 〜パン・ド・ジェーヌ・オ・マロン〜
(木村成克シェフ)
PAIN DE GENES AUX MARRONS パン・ド・ジェーヌ・オ・マロン
マジパンがたっぷり入ったパンドジェーヌにコンフィチュール・カシスの酸味とマロンコンフィの歯触りが奥深さを醸し出します。生地の中にも栗の粉・栗の蜂蜜を加えるこだわりぶり。個性的な深みのある味わいは秋にピッタリです。
PAIN DE GENES AUX MARRONS パン・ド・ジェーヌ・オ・マロン
手順はシンプルですが、全卵をマジパンと混ぜ合わせる時とてもダマになりやすいので、少量ずつ合わせる事を念押しされていました。
PAIN DE GENES AUX MARRONS パン・ド・ジェーヌ・オ・マロン
生地のセンターにはカシスのコンフィチュール・マロンコンフィが忍ばせてあります。焼き上がりの見極めは、触ってみて弾力があればOKとの事。美味しそうに焼き上がりました!
PAIN DE GENES AUX MARRONS パン・ド・ジェーヌ・オ・マロン
表面にアプリコットジャムを塗り、デコレーションをして完成です。
D’ALSACE 〜ダルザス〜 (齋藤由季シェフ)
D’ALSACE ダルザス
キルシュの香りが口いっぱいに広がる、濃厚なババロアが特徴のプティガトー。センターにはグリオットのジュレとコンポート。そしてトップにはシロップとバニラでじっくり煮詰めたイチジクと、ピスタチオ・クルミのデコレーションが。奥深い味わいが秋を思わせます。
D’ALSACE ダルザス
アングレーズを炊き上げ、ババロアを仕込みます。キルシュ多目なのが齋藤シェフ流!口に入れた途端、かなり香り・アルコールを感じる程入れていらっしゃいました。逆に対照的なのが生クリーム。キルシュとグリオットの風味を最大限に生かす為、乳臭くないタイプのものを使用しているとの事でした。
D’ALSACE ダルザス
薄く伸して焼きあげたビスキュイ・ショコラ。カカオパートを使用し、深みのあるショコラ生地に仕上がっています。仕込む際、バターやカカオパートの温度を意識して仕込む事で、状態の良い生地に仕上がるとおっしゃっていました。
D’ALSACE ダルザス
生地をセルクルで抜いていき、シロップをアンビベして、底生地として使用します。
D’ALSACE ダルザス
キルシュ香るババロアを絞っていき、あらかじめ仕込んでおいたグリオットのコンポートを忍ばせます。こちらもキルシュは外せません!
D’ALSACE ダルザス
『ル・カンテンウルトラ』で固めたグリオットジュレをその上に載せます。ここで寒天を使用したのは、外のムースがゼラチンなので、溶解温度の違いを利用して食感を楽しむ為、とおっしゃっていました。
D’ALSACE ダルザス
更にムースを絞り、デコレーションをします。トップの『ディスク・クロッカン』はイチジクをシロップでじっくり煮込んだもの・ピスタチオ・クルミを使用しています。しっかりと敷き詰めて完成です。
木村成克シェフ 『LA VIEILLE FRANCE』
1987年に渡仏しLA VIEILLE FRANCEなど名店で修業を重ね、再度LA VIEILLE FRANCEに戻り日本人初のシェフパティシエに就任。
帰国後は東京・福岡を経て2007年千歳烏山に『LA VIEILLE FRANCE』をオープン。今年に入って仙川にも新店舗をオープン。

齋藤由季シェフ
15歳からパティシエとしての研修をスタートし、18歳で都内パティスリーに勤務。その後渡仏し4年間修業を積む。
帰国後は都内有名店に勤務し、2011年『Patisserie Les Cinq Epices』シェフパティシエール就任。現在は独立開業に向けて準備中。
 
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