パティス・ガストロノミー協会主催の講座「仏・伊・チャイナ 杏仁バトル」のレポートです。実は、この講座、午前中に「岩井の胡麻油を使ったラー油講座」があり、取材はダブルヘッダー。受講者の方も数名は午前午後を通しての参加で、皆様の研究熱心さに驚かされます。
ひとくちに杏仁といっても、TFOODSで扱う商材も様々。パティス・ガストロノミー協会の鈴木会長は、これらの素材の違いを「杏仁豆腐」を作ることによって、分り易く表現されていました。杏仁豆腐は、コンビニエンスのスイーツとしても定番で、少し前までは、中華料理のデザート、というイメージが強かったジャンルのお菓子ですが、通年楽しむことの出来るデザートに変化しています。
杏仁豆腐を作るにあたって、材料を変えることは、もちろんのこと、製法も、通常の牛乳ベースにゼラチンを入れたタイプ、パンナコッタの応用、ブランマンジェの製法を用いる、といったように、この講座のあちこちに隠されたテーマが面白く、かつ、奥深いテーマになっていました。
フランス代表は、「ブランマンジェ」。ブラン=白い、マンジェ=食べ物、ということで、仕上がりも真白。ここへ飾りをする(フルーツや葉をのせる)ことは、NG。白さが命、といったところでしょうか。アルコール度数50度のヴォルフヴェルジェールのアルザス・アルザマンド、サトウキビの糖液カリブ、膨潤させずに使用できるゼラチン21、泡立てた生クリームを使用します。50度のお酒は煮切って使っても非常にパンチのある仕上がりでした。
イタリア代表は、「パンナコッタ」。こちらは、ルクサルドの杏仁リキュールを使用。牛乳、ゼラチン21、砂糖、液状のままの生クリームを使います。こちらのリキュールは、アルコール度数18度。口から鼻に抜ける杏仁の香りが印象的で、アルコールを抑えてある分、香りの広がりが分かりやすい仕上がりです。今回は、キユーピーのヒアロジュレ、エスプーマベース、ドーバー洋酒貿易のトックブランシュ(アプリコット)で華やかに仕上げました。
チャイナ代表は、王道「杏仁豆腐」。最も多く作られている製法である、牛乳と杏仁霜を使った配合です。砂糖、ゼラチン21を使用し、クコの実を飾って仕上げます。
3種類を食べ比べて、鈴木会長に一番好きなものを後から質問される、とあって、試食は真剣勝負!結果は、比較的、イタリアの票が多かったように思いますが、王道・チャイナも捨て難い、いやいやフランスも美味しい、と白熱した杏仁バトルでした。
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