東京・東向島の駅前にある和菓子店「菓子遍路 一哲」では、地域の方々と交流を深めるため手作り和菓子教室を開催しているとのこと。
初回は、店内で小学生を数人集めて開催していたそうですが、回数を重ねるごとに人が人を呼び、会場が手狭になったところに、駅前の居酒屋さんが地域貢献ならば、と場所を提供してくださり、第5回は居酒屋「からふる」様で開催となりました。
今回のお品書きは以下の4種類。
・白玉ぜんざい
・外郎製「青梅」
・鹿の子風仕上げ「あじさい」
・練りきり「ほおずき」
白玉ぜんざいは、小豆の煮方から丁寧な説明があり、家庭で上手に豆を煮る方法を伝授。白玉だんごは、小さい頃、誰もが家庭で取り組んだことのある1品かと思いますが、酒井氏の細部に渡る「語り」で、「耳たぶのかたさ」もより深く理解できたのでは。
外郎製「青梅」は、まず、白餡に凍った蜜漬け梅をひとつ、包むのですが、「種入り」であること、また種が入っているのは、食べるとき気をつけなくてはいけない、それをお店がきちんとお客様に伝えなくてはいけない時代、ということについてお話がありました。教室で
作ったものも、どなたかに召し上がっていただく際は、そういった心遣いが必要で、「伝えなければいけないこと」を「きちんと伝えていく」姿勢に、受講する側もみなさん背筋が伸びてしっかりと聞き入っていたのが印象的です。外郎生地は事前に準備されたものを
使いましたが、包み方やヘラの入れ方、仕上げの片栗粉に至っても、手さばきに食い入るような視線を感じました。
練り切り製「ほおずき」は、上生菓子の王道、練り切り(白餡に求肥を加えて練ったもの)の手形細工物ですが、ここでは、オレンジ色に着色した生地をぼかしにする手法、布巾を使って絞る手法を
教わり、皆さんそれぞれに個性的なほおずきを仕上げていました。
寒天製の鹿の子風仕上げ「あじさい」は、3色に染め上げた角切りの寒天を白餡を中心にしてまわりに付けていきます。寒天をまんべんなくつける作業は一見簡単そうですが、意外にまとまらず悪戦苦闘
している方も多くみられました。
「和菓子を作ることを通して、作る事の楽しさ・日本の風情を感じて頂ければ嬉しい限りです」とテキストの裏表紙に書いてありましたが、店主とお客様が一体となって愉しみ、地域に溶け込んでいる姿は、和菓子洋菓子といったカテゴリーに関係なく様々な業態で
活かせる姿なのでは、と感じました。
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