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東川司シェフ講習会
「アルチザン・ブーランジェ・クピド!」 東川司シェフ
パティスガストロノミー協会主催 天然酵母のシュトーレン講習会

 

クリスマスを間近に控えた12月中旬。パティスガストロノミー協会が主催するクリスマス講習会にお邪魔しました。
今回はクリスマスにちなみ、シュトーレンをピックアップ。それも天然酵母のシュトーレン! 講師は奥沢の人気ブーランジェリー「アルチザン・ブーランジェ・クピド!」の東川司シェフです。

 

店ではさまざまな天然酵母を使い、粉は13〜18種類、バターは5種類と多様な使い分けをしているそうです。その美味しさで夕方には品切れ続出というクピドのパン。気になるのは、今回のシュトーレンに使った天然酵母は何で起こしたか? というところです。シェフが使用していたのは、モハベレーズンというモハベ砂漠でとれるレーズンでした。 枝付きのまま完熟、さらにそのまま天日干しをするため、通常のレーズンより糖度が高いのが特徴です。以前はカレンズを使っていたようですが、最近はもっぱらモハベレーズンとのこと。実もふっくらやわらかいので、今回のフルーツ漬けにも使っていました。シェフのお墨付きのモハベレーズンは、TFOODS.COMのネットショップで購入できます。

 

シュトーレンは、アドベント(イエス・キリストの降誕を待ち望む期間)に食べられるもので、本来は小麦・大麦・塩・水だけという、とても質素なものだったそうです。そう考えると、現在はバターやフルーツ、砂糖もたっぷり使っていてかなり贅沢ですね。 東川シェフのシュトーレンはマジパンは入れず、発酵器がないフランスの作業場で作ったものを再現されていました。粉は石臼挽きのフランス産小麦を、フルーツ漬けにはクムカット(きんかん)、モハベレーズン、イチジクを使用。薄くスライスしても食べ応えある仕上がりで、様々な香りを含んだ生地が非常に美味しく感じました。

 

今回はシュトーレンでしたが、パン作りはマニュアル化しにくいため、講習会ではどんどんお客さんに生地を触ってもらい、香りを嗅いでもらって質問を受け付けていました。シェフ自身も季節や状況で材料を見極め、鼻で香りを確かめたり、舌を使って味を決めることが多いそうです。天然酵母や粉など材料のお話も伺いましたが、大切なのは『生地との対話』。職人ならではの感覚を垣間見ることができた講習会でした。

 

 
開催日
  2009年12月17日(木)
講師
  奥沢 「アルチザン・ブーランジェ・クピド!」 東川司シェフ
主催
  パティスガストロノミー協会
会場
  ドーバー洋酒貿易 講習会場
 
 
 
パティスの鈴木会長も大好きな「クピド!」のパン。待望の東川シェフを招き、シュトーレン講習会が行なわれました。

  オーバーナイト法で醗酵させた生地。使用した石臼挽きのフランス産小麦は長時間醗酵に真価を発揮。複雑な味わいを生み出します。

  一次醗酵終了の見極めは、 吟醸酒のような香りに少しの酸味が加わったくらいが目安。グルテンが網目状になっているのがわかります。

 
 
これはクリーミングという工程で、バターと卵黄、粉糖をホイッパーで混ぜてクリーム状にしています。シュトーレンをふくらます気泡の役目がこれ。粉ではなくバターでふくらますというイメージです。

  次はフルーツの漬け込み液について。シェフは砂糖ではカナドウ・カリブ天然糖液というサトウキビ天然糖液を使います。甘味がまろやかで、全体的に丸みが感じられるお気に入りの1本とのこと。

  キルシュやシナモン、ナツメグ、グローブ、バニラを入れて、好みの味と香りに仕上げます。状態は常に鼻や舌など五感を使ってチェック。フルーツはモハベレーズン、白イチジク、きんかんを使用しています。

 
 
オーバーナイト種、クリーミング種、強力粉、漬込フルーツなどを入れて、こねずにまとめます。


  その生地を分割。天然酵母系のパンは特にベンチタイムが重要なので、分割後はゆっくり寝かせてから成型します。   シュトーレン生地はひとつ折り。天然酵母はドライイーストに比べると醗酵力が弱いため、生地にストレスを与えないことが大切です。

 
 
成型をしたら、約30℃・75%のホイロで二次醗酵。醗酵終了の目安は、指でさわって、押し戻しがないくらいが良いそうです。

  焼き上がったシュトーレン生地には、バターの上澄み液をたっぷり。すぐにグラニュー糖をまぶします。

  生地が冷めたら、仕上げに粉糖をふるって完成です。シュトーレンのお味見は最後のお楽しみ。その前にたくさんの試食が!

 
 
クピド自慢のバゲット。

  クピドのおいしい惣菜パンもズラリ。

  はなのみさん提供の鹿肉ペースト。

 
 
同じく珍しい鹿肉のソーセージ。

  たくさんの料理に囲まれて乾杯!

  デザートには、乾杯のスパークリングワインで作ったフルーツポンチも。

 
 
最後はお待ちかねのシュトーレン! ドライイーストと天然酵母の2種類を試食。フルーツと粉の旨味がぎゅぎゅっと詰まっていました。

  シュトーレンと一緒にサーブされたのはヴォルフベルジェール/リキュール・ド・サパンというモミの木のリキュール。深い森を思わせます。

  参加者には醗酵種もおすそ分け。種の継ぎ方など、細やかで丁寧な説明が印象的な東川シェフでした。

 

使用したおすすめの材料

 
 
モハベレーズン

  カナドウ・カリブ天然糖液

  3-タンネン/ドイツキリッシュ

東川シェフお気に入りのレーズン。完熟した実を枝につけたまま天日乾燥するため、糖度が高いのが特徴。

  今回のフルーツ漬けで砂糖のかわりに使用した“さとうきびの天然糖液”。味に丸みがある仕上がりに。

  同じくフルーツ漬けで使用したキルシュ。昔ながらの製法を変えないドイツキルシュは永く愛される逸品。

 

東川司シェフ

「アルチザン・ブーランジェ・クピド!」 東川司シェフ

 

奥沢の人気ブーランジェリー「アルチザン・ブーランジェ・クピド!」は、葡萄や桃など、オリジナルの天然酵母と何種類もの粉を使い分けた滋味豊かなパンが魅力。 その味に熱烈なファンが多く、夕方になると売り切れ続出という注目のパン屋さんです。

 

 「アルチザン・ブーランジェ・クピド!」

住  所 : 東京都世田谷区奥沢3-45-2 1F

営業時間 : 10時〜商品終了まで

HP : http://cupido.jp/

 

 
 

 

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