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林正明シェフ講習会
林正明シェフ
カリフォルニア・アーモンド 洋菓子セミナー 2009

 

カリフォルニア・アーモンド協会が主催する洋菓子セミナーに参加しました。

アーモンドという素材は、お菓子に欠かすことのできないかなり馴染み深い材料。特に、市場の約80%を占めるカリフォルニア・アーモンドは、ホールやスライス、パウダー、ペーストなど様々な形状で製菓市場を支えています。その一方で、油脂分が多く、香りが強いと言われるスペイン産やシシリー産と比較されることも多いのではないでしょうか。

 

今回は、講師に林正明シェフを迎え、『カリフォルニア・アーモンドを使う意義』 をテーマに考案したルセットをご紹介いただきました。 林シェフは「大切なのはその使い分け。カリフォルニア産アーモンドを使うことで美味しくなるお菓子、スペイン産アーモンドを使うことで美味しくなるお菓子がある」と言います。

 

例えば、ルセットのひとつ「セントラル・バレー」。ショコラムースとクレームカラメル、ダックワーズと構成する3点全てにアーモンドを使います。 これに使うアーモンドは、必ず “カリフォルニア・アーモンド” であること。仮に、これをノワゼットや他のアーモンドで作ると油っぽい仕上がりになってしまい、味のバランスが崩れてしまいます。

また、軽いムースヌガーにシトロンの酸味が爽やかな「エムシー」。このお菓子が持つイメージのように、“清涼感”を打ち出した作品にも、さっぱりした後味のカリフォルニア・アーモンドが適しているそうです。 素材には適材適所があり、どのイメージにどの材料を使うのか、その使い分けを見極めることも、職人として腕の見せ所だと感じました。

 

講習会終盤は、林シェフによるショコラピエスモンテのデモンストレーション。アーモンドの木をモチーフにしたリアリティーのあるピエスは圧巻です。身近なカリフォルニア・アーモンドの持つ、アートとしての魅力にもあらためて気付かされた講習会となりました。

 

 
開催日
  2009年7月28日(火)
講師
  林正明シェフ
主催
  カリフォルニア・アーモンド協会
会場
  専修学校 日本菓子専門学校 講義会場
 
 
 
100人の定員が埋まってしまうほど大勢の受講者が集まった今回の講習会。カリフォルニア・アーモンドを使う意義を教えていただきました。

  「セントラル・バレー」の工程。ダックワーズにたっぷりアーモンドアシェ16割をまぶします。コリコリした食感を演出する大事なパーツ。

  林シェフのレシピは、配合のパーセンテージを読み解くと極めてスタンダード。配合より作品そのものの完成度を上げることが大切とのこと。

 
 
ムースショコラアマンドを絞り、手前のクレームカラメルアマンドを仕込みます。土台はダックワーズアマンドで、しっかりした食感をプラス。

  アーモンド産地の名前から付けられた「セントラル・バレー」。渓谷をイメージした上部のくぼみには、ほろ苦いカラメルソースがトロ〜リ。

  「エムシー」の工程。シトロンのビスキュイにムースヌガーを流します。ムースヌガーには刻んだアーモンド、ピスタチオ、オレンジピールが。

 
 
シャンティショコラレとビスキュイシトロンの間には、クレームシトロンが薄く仕込まれています。この層が爽やかなインパクトになっています。

  清涼感のあるムースヌガーの後からシトロンの爽やかな酸味と香りが追ってくる「エムシー」。口どけと香りを計算した構造になっています。

  「セントラル・バレー」(写真左)、「エムシー」(写真右)のカット面はこのような感じになっています。

 
 
「ヌーヴェル」の工程。ケーク型にアーモンドのパウンド生地とシナモンで香りを加えたクルミのパウンド生地を交互に絞っていきます。

  ヌーヴェル」。クルミのこっくりした味わいとアーモンドのやわらかい生地感は、ナッツ系2種類の組合せながら重さを感じさせません。

  「ディアマン」の工程。皮付きアーモンドホールを粗く刻んで一面にまぶします。手粉を使いたくないのでOPシートに伸ばして冷凍します。

 
 
焼き菓子「ディアマン」。ゴリゴリした食感が楽しい一品。使用したヴェルジョワーズ独特の甘みがお菓子にコクをプラスしています。

  午後はピエスモンテのデモンストレーションを行ないました。林シェフが手にしているのはラメ入り色素。こちらは日本未販売です。

  ラメ入り色素は赤い色素に混ぜるとこのような感じに。ブロンズを思わせる光沢は、作品に立体感を感じさせます。

 
 
これはピエスのモチーフになっているアーモンドの木。ゴツゴツ具合やうねりは本物の木に見えます。木幹のリアリティーに圧倒。

  大きな花や葉っぱ、球体など次々とパーツを付けていきます。接着の際の冷却に使っているのはPC用のダスター。

  ピエスモンテ全体像 ←クリック!
ゴツゴツしたアーモンドの木をモチーフに『AMANDARIE』の文字をあしらったピエスモンテです。

 
カリフォルニア・アーモンド材料いろいろ
 
 

アメリカ産アーモンドホール
 
脱皮アーモンド刻み612
 
アーモンドパウダー皮無E
焼き菓子「ディアマン」では皮ごと粗く刻んで使用。なだらかなフォルムの美しさを活かし、センターの飾りにも使われていました。

  ダイスカット16割です。「セントラル・バレー」の土台部分にあたるダックワーズにたっぷり使用することで食感を演出。

  ダックワーズやビスキュイ、焼き菓子などオールマイティに使用。お菓子作りに欠かせないアーモンド材料のひとつです。
 

林正明シェフ

林正明シェフ

 

1972年東京生まれ。東京製菓学校卒業後、都内洋菓子店で修行。その後、「ホテル・グランパシフィック・メリディアン」にて、ホテルならではの技術を取得。2001年「氷川会館」でスーシェフを務め、2004年にはシェフパティシエに就任。 また、2006年ワールド・ペストリー・チーム・チャンピオンシップ世界大会準優勝、2009年クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー世界大会4位など受賞歴も多数。クープ・デュ・モンドでは日本代表のチームリーダーを務め、アシェットデセールとチョコレートのピエスモンテを担当。 現在は、技術指導者として日本各地で講習会を行なっている。

 

 

 

カリフォルニア・アーモンド協会

カリフォルニア・アーモンドについて

 

 カリフォルニア・アーモンドとは

カリフォルニア・アーモンドの主な栽培地は、世界のアーモンド生産量の80%を占めるカリフォリニア・セントバレー地区。衛生基準は世界トップクラスと言われ、米国農務省の厳しい品質基準と等級管理により、常に高い品質が保たれています。 栄養価に優れており“天然のサプリメント”ともよばれています。

 

 AMANDARIEとは

これまでのクラシックな使い方を進化させ、アートとして新たな作品を創造することを意味する“AMANDARIE”。食にとどまらず、カリフォルニア・アーモンドが持つ新しい魅力を表現する言葉として生まれました。

 

カリフォルニア・アーモンド協会HP

 

 

 

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