フランスの家庭の味というやさしいケーキと、余計なものを加えず安心な材料を使用したジャムの美味しさは格別でした。少人数制だからこそできる決め細やかな対応、特に生徒さんの質問にひとつひとつ丁寧に答えるろみさんの姿が印象的で、満足度がとびきり高いお教室でした。
(この日作ったケーキとジャムはレシピ集「ジャムのお菓子」に掲載されています。)
ろみさんは東京、パリ、アルザスで本格的なフランス菓子を学びました。ル・コルドン・ブルーを首席で卒業し、一流ホテルや菓子店で修行した後帰国。ル・コルドン・ブルー東京校に7年間にわたり勤務する一方で、カフェのメニュープランニングや数々のフードイベントを企画、開催します。
彼女のジャムは各地で評判になり、1ヶ月分の商品がたった3日で完売し、徹夜で銅鍋と格闘したことも。現在はお店の他にレシピ本出版や雑誌連載、お菓子教室の開講、メーカーの商品開発など多彩な活動を行っています。メディアからの取材も多く多忙な彼女ですが、時間が許す限りお店で過ごすようにしているそうです。
彼女がパティシエールの道を選ばなかったのは、もう少し他の形態でお菓子の美味しさや楽しさを「伝える」仕事に携わりたいと思ったからだそうです。「コンビニなどで手軽に買えるお菓子を食べる人が増え、どんどんジャンクな方向に向かっています。それを否定するわけではないけれど、本物のフランス菓子に触れて、美味しいものを見極める舌をもってほしい。私はジャムという日常的な食べ物をとおしてそれを伝えたい。」 と熱意をこめてお話してくださいました。彼女らしい「食育」の提案に強く共感を覚えました。
「手作りのジャムと大量生産のジャムはどうしてこんなに味が違うのだろう。工房でぐつぐつジャムが煮えていて、量り売りをしてくれるジャム屋さんがなぜないのだろう。あったらぜひ行きたい!」 と常々思っていたという彼女の素敵な企みの集大成がこのお店です。
ろみさんのジャムはその素材の組み合わせのおもしろさと、フルーツの美味しさを最大限に引き出した製法で「お菓子みたいなジャム」というまったく新しいジャンルを作りあげました。単に煮詰めて凝縮するのではなく、強火で一気に火を通すことでフレッシュな果物の美味しさ、香り、食感を残したとびきり味わい深いジャムです。
そのラインナップは季節ごとに少しずつ変わります。
取材当日店頭に並んでいたのは「いちごとミントと黒コショウ」「ブルーベリーとカシス」「キャラメル・ミルクチョコペースト」など。こんなジャムみたことない!とどれも試してみたくなります。
今注目している素材はペッシュ・ド・ヴィーニュ、ミラベルなどの日本であまり馴染みのないもの、奄美大島のたんかんや沖縄のマンゴなど日本のトロピカルフルーツだそうです。この日のお店には「たんかんとしょうがのジャム」が!
「東名さんは品揃えがマニアックですよね~ 好きです。そのマニアックさが」と嬉しいお言葉を頂戴しました。これからも珍しい素材をご紹介できるよう努力していかなければ・・・・と決意を改たにしました。
ろみさんとマネージャーの星谷さんは高校の同級生で、なおかつコルドン時代の同僚です。「お仕事はどうですか?」 と尋ねると「夢が叶いました」ととびっきりの笑顔で答えてくれました。
こちらまで心が温かくなるような、そんな笑顔です。
ろみさんがフランス修行中に強く心に残ったのは出会った人々の「人生を楽しむ」姿勢だといいます。毎日の暮らしが楽しくなるような、ひとつひとつ
ちゃんと手作りしたジャム。そんな幸せなひと匙がこの場所から生まれています。
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Romi-Unie Confiture
〒248-0011
神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-13-1
TEL.0467-61-3033
FAX. 0467-61-3034
開店時間 10:00-18:00
定休日 木曜日
週末にはスコーンなどの焼き菓子も。
http://www.romi-unie.jp |
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